ISS・きぼうウィークリーニュース第389号
2010年6月29日
トピックス
野口宇宙飛行士は報告会参加のためロシアへ、山崎宇宙飛行士は帰国中
帰還歓迎式典に参加する(左から)野口、コトフ、クリーマー宇宙飛行士(出典:FSA)
野口宇宙飛行士は、国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在帰還後の技術報告会へ参加するため、6月22日から24日にかけて、ロシアのガガーリン宇宙センター(GCTC)を訪れました。
6月24日、野口宇宙飛行士は、オレッグ・コトフ、ティモシー・クリーマー両宇宙飛行士とともに、帰還歓迎式典に参加しました。野口宇宙飛行士は、式典でロシアの関係者への感謝を述べ、今後も日本人宇宙飛行士がソユーズ宇宙船に搭乗することに関連して、宇宙における国際協力の継続を望むと語りました。
野口宇宙飛行士は、今後、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)で引き続き帰還後の技術報告やリハビリなどを行う予定です。
山崎宇宙飛行士は、STS-131ミッションの報告などを日本国内で行うため帰国しています。6月30日に東京都で行われるミッション報告会にSTS-131クルーらとともに参加するほか、7月10日には、北海道札幌市で開催されるタウンミーティングに参加する予定です。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から754日経過しました
マランゴニ対流実験、2次元ナノテンプレート製作実験などを実施予定
「きぼう」船内実験室では、7月5日から7日にかけて、「マランゴニ対流における時空間構造」実験が行われます。この実験の研究結果は、地上で高品質な半導体用結晶を作る技術への応用や、電子機器を冷却するヒートパイプの高効率化への貢献が期待されます。
7月9日から9月下旬頃にかけては、2次元ナノテンプレート製作実験が行われます。
この実験では、微小重力環境でナノレベルの物質が規則的に自己組織化(配列)したナノテンプレートを製作し、地上で製造用基板に転写して製品化することを目的としています。ナノテンプレートを半導体に応用して電子材料基板を作製することで、電子材料の大幅な省エネルギー化や高速化が図れるともに、新しい電子材料を高効率・低コストで製造することが可能になると期待されます。
そのほか、「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。なお、超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder: SMILES)は、観測運用の再開に向けた作業が引き続き進められています。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4239日経過しました
23Sのドッキングポート変更、38Pの到着に向けた準備などを実施
6名体制となった第24次ISS長期滞在クルー(出典:JAXA/NASA)
打上げ準備中のプログレス補給船(38P)(出典:S.P.Korolev RSC Energia)
第24次長期滞在クルーのISS滞在は、アレクサンダー・スクボルソフ、トレーシー・カードウェル、ミカエル・コニエンコ宇宙飛行士は86日、ダグラス・ウィーロック、フョードル・ユールチキン、シャノン・ウォーカー宇宙飛行士は11日経過しました。
クルーはソユーズ宇宙船(23S)のドッキングポート変更や、プログレス補給船(38P)の到着に向けた準備などを行いました。
6月29日、23Sのドッキングポートを変更する移動飛行が行われ、23Sは「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)後方のドッキングポートから、ロシアの小型研究モジュール1(Mini-Research Module 1: MRM1)の地球側のドッキングポートに移動しました。この23Sの移動は、7月1日に打ち上げられる予定の38Pのドッキングポートを空けるために行われました。
38Pは、7月1日午前0時35分にロシアのソユーズロケットによりカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、7月3日にISSへドッキングする予定です。
38Pには、食料や交換修理品などの補給物資のほか、JAXA関連の物品として、蛋白質結晶生成装置(Protein Crystallization Research Facility: PCRF)のメンテナンスユニットなどが搭載されます。
インフォメーション
第8回航空機による学生無重力実験コンテスト 参加者募集
コンテストで使用されるガルフストリームII(出典:JAXA)
JAXAは、「第8回航空機による学生無重力実験コンテスト」に挑戦する学生の募集を行っています。
本コンテストは、宇宙環境利用への理解・関心を深める目的で、国内の高専(4年生以上)、大学、大学院に在籍する学生を対象に開催します。
航空機の放物線飛行で作り出される無重力環境で行う実験のアイデアを募集し、選定されたチームが自ら実験装置を製作し、航空機に搭乗して無重力状態を体験しながら実験を行います。
実験の内容は理工系に限らず、芸術や教育など幅広い分野が対象です。また、日本への留学生の参加も歓迎します。
募集の締切りは8月6日(金)です。コンテストの概要や応募方法の詳細、過去のテーマ紹介などにつきましては、以下のページをご覧ください。皆様のご参加をお待ちしています。