ISS・きぼうウィークリーニュース第346号
2009年6月30日
トピックス
2009年夏期の打上げに向け、HTV初号機のペイロード搭載と全機結合が完了
補給キャリア与圧部と補給キャリア非与圧部の結合
HRRに格納されるCTB
補給キャリア非与圧部に搭載される曝露パレット
種子島宇宙センターでは、2009年夏期の打上げに向けて、宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle: HTV)技術実証機(初号機)の準備が順調に進められています。
4月23日未明に種子島宇宙センターに到着したHTV初号機は、種子島宇宙センターの第2衛星フェアリング組立棟に搬入され、構成要素ごとに輸送後の点検が行われました。その後、国際宇宙ステーション(ISS)へ運ぶペイロードを補給キャリア与圧部と補給キャリア非与圧部に搭載する作業が行われました。
補給キャリア与圧部には、物資輸送用バッグ(Cargo Transfer Bag: CTB)に収納された食料品や衣服などの補給品および各種実験試料が、HTV専用の補給ラック(HTV Re-supply Rack: HRR)に格納された状態で搭載されました。
補給キャリア非与圧部には、「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォーム実験装置である超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(Superconducting Submilimeter-Wave Limb-Emission Sounder: SMILES)と、NASAの実験装置が、曝露パレットに取り付けられた状態で搭載されました。
SMILESは、超高感度センサにより地球のオゾン層の精密な観測を行い、破壊されたオゾン層の回復状況の監視や、回復の予測精度の向上を目的とした観測データを取得します。
ペイロードの搭載が完了した後には、補給キャリア与圧部と補給キャリア非与圧部を結合する作業が行われました。その後、6月24日に電気モジュールと推進モジュールを含めた全機結合が行われました。
HTV初号機は、全機結合までの組立作業を終え、今後、全機点検や燃料の充填など、打上げに向けた最終準備段階に入ります。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から390日経過しました
「マランゴニ対流におけるカオス・乱流とその遷移過程」実験の準備を実施
2008年9月27日のマランゴニ対流実験で形成された、マランゴニ対流を観察するための液柱の様子(JAXA/諏訪東京理科大学)
「きぼう」日本実験棟では、「マランゴニ対流におけるカオス・乱流とその遷移過程」(代表研究者:横浜国立大学 西野耕一教授)の第2シリーズの開始に向けた準備が、6月30日から7月2日にかけて行われます。
マランゴニ対流とは、水などの液体に生じる表面張力の強さが液体の温度や濃度差で変わることによって発生する流れで、地上では重力の影響で観察が難しいため、微小重力環境でマランゴニ対流の様子を詳しく観察し、その法則を明らかにすることがマランゴニ対流実験の目的です。
この実験は、2008年8月から10月にかけて第1シリーズが行われ、順調に実験データが取得されました。今後開始される第2シリーズでは、第1シリーズとは条件を変えて更に実験データを取得し、マランゴニ対流の法則に迫ります。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから3875日経過しました
クルーは33Pの分離や18Sのドッキングポート移動に向けた準備を実施
18S船内で専用シートライナーの確認を行う若田宇宙飛行士(提供:NASA)
第20次長期滞在クルーのISS滞在は、ゲナディ・パダルカ、マイケル・バラット両宇宙飛行士は94日、若田光一宇宙飛行士は104日、フランク・デヴィン、ロバート・サースク、ロマン・ロマネンコ宇宙飛行士は33日が経過しました。
クルーは科学実験やISSシステムのメンテナンス作業のほか、米国時間6月30日に予定されているプログレス補給船(33P)の分離に向けた物品の整理や、米国時間7月2日に予定されているソユーズ宇宙船(18S)のドッキングポートの移動に向けた準備などに忙しい日々を過ごしました。
米国時間7月2日、パダルカ、バラット、若田宇宙飛行士は18Sに搭乗し、18Sを「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)のドッキングポートから「ピアース」(ロシアのドッキング室)のドッキングポートへ移動させる予定です。STS-127ミッションの延期により、若田宇宙飛行士がこの作業を担当することになり、日本人宇宙飛行士として初めてソユーズ宇宙船に搭乗します。