今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4085日経過しました
ソユーズTMA-16宇宙船の移動、PMA-3の移設などに忙しい1週間
STS-130ミッションに向けて宇宙服の準備を行う野口宇宙飛行士(提供:NASA)
移動飛行を行うソユーズTMA-16宇宙船(提供:NASA)
「ハーモニー」(第2結合部)で作業を行う野口宇宙飛行士(提供:NASA)
第22次長期滞在クルーのISS滞在は、ジェフリー・ウィリアムズ、マキシム・スライエフ両宇宙飛行士は116日、オレッグ・コトフ、野口聡一、ティモシー・クリーマー宇宙飛行士は35日が経過しました。
クルーは、STS-130ミッションに向けた準備や物品の整理、ソユーズTMA-16宇宙船(20S)の移動、与圧結合アダプタ3(Pressurized Mating Adapter: PMA-3)の移設作業などに忙しい日々を過ごしました。
1月18日、野口宇宙飛行士は、船外活動ユニット(Extravehicular Mobility Unit: EMU)と船外活動で使用する道具類の準備作業を行いました。
1月21日、ソユーズTMA-16宇宙船の移動が行われました。ソユーズTMA-16宇宙船は、同日午後7時03分に「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)から分離し、同日午後7時24分にロシアの小型研究モジュール2(Mini-Research Module 2: MRM2)にドッキングしました。この間、野口宇宙飛行士は、ソユーズTMA-16宇宙船の飛行の様子を記録するため、ISS船内から写真を撮影しました。
1月23日には、PMA-3を「ユニティ」(第1結合部)から「ハーモニー」(第2結合部)へ移設する作業が行われました。ウィリアムズ、クリーマー両宇宙飛行士がISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)を操作して移設作業を行い、野口宇宙飛行士は共通結合機構(Common Berthing Mechanism: CBM)の操作を担当しました。この移設作業は、米国時間2月7日に打上げが予定されているスペースシャトル・エンデバー号(STS-130)でISSに運ばれる「トランクウィリティー」(第3結合部)の取付けに備えた作業として行われました。
1月24日には、ズヴェズダのエンジンを使用したリブースト(軌道上昇)が行われ、ISSの平均高度は約5km上昇しました。このリブーストにより、ISSはプログレス補給船(36P)とエンデバー号の到着に備えた高度に引き上げられました。
36Pは米国時間2月3日にカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、同2月5日にISSへドッキングする予定です。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から600日経過しました
マランゴニ対流実験の準備作業を実施、船外実験装置の観測運用は順調
マランゴニ対流実験の供試体の補修作業を行う野口宇宙飛行士(1月15日)(提供:NASA)
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、1月25日から28日にかけて、「マランゴニ対流における時空間構造」実験の準備作業が行われています。
マランゴニ対流とは、水などの液体に生じる表面張力の強さが液体の温度や濃度差で変わることにより発生する流れです。地上では重力の影響で観察が難しいため、微小重力環境でマランゴニ対流の様子を詳細に観察し、そのメカニズムを明らかにすることで、地上で高品質な半導体用結晶を作る技術への応用などへの貢献が期待されます。この実験は、1月29日から開始される予定です。
また、3月以降には、筋萎縮のメカニズムの解明を目的とした生命科学実験「蛋白質ユビキチンリガーゼCblを介した筋萎縮の新規メカニズム」(Myo Lab)が予定されています。実験の紹介ページを公開しましたので、ぜひご覧ください。
そのほか、「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)および全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)、超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder: SMILES)の観測運用が順調に進められています。
STS-130ミッションの準備状況
STS-130クルーはKSCで行われたTCDTに参加
TCDTを終えたSTS-130クルー(提供:NASA)
NASAケネディ宇宙センター(KSC)では、スペースシャトル・エンデバー号(STS-130ミッション)の打上げに向けた準備が進められています。
STS-130クルーは、米国時間1月19日から21日にかけて、KSCで行われたターミナル・カウントダウン・デモンストレーション・テスト(Terminal Countdown Demonstration Test: TCDT)に参加しました。TCDTでは、射点からの緊急避難訓練や、エンデバー号に搭載された「トランクウィリティー」(第3結合部)とキューポラの搭載状況を確認したほか、最終日には、打上げ時に着用する与圧服(オレンジスーツ)を着てエンデバー号に搭乗し、打上げ直前までのカウントダウン作業を模擬する訓練が行われました。
エンデバー号は同2月7日に打ち上げられる予定です。エンデバー号の正式な打上げ日時は、同1月27日に開催される飛行準備審査会(Flight Readiness Review: FRR)で決定されます。