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野口宇宙飛行士ISS長期滞在ミッション報告会開催、多くの参加者でにぎわう
ミッション報告会の会場の様子(出典:JAXA)
ISS長期滞在の様子を解説する野口宇宙飛行士(出典:JAXA)
会場からの質問に答える野口宇宙飛行士(出典:JAXA)
8月5日、野口宇宙飛行士によるISS長期滞在ミッション報告会を東京都千代田区の日比谷公会堂で開催し、1,230名の皆様にご来場いただきました。
報告会では、初めに、野口宇宙飛行士によるISS長期滞在ミッションの解説が行われました。ステージの大きなスクリーンにミッションの映像が映し出され、野口宇宙飛行士は、打上げから帰還までのミッション中の様子を解説したほか、「きぼう」ロボットアームの子アーム取付け作業や、食事や散髪、ISS長期滞在中に使用した個室の内部などISSでの生活の様子、宇宙から見た地球の様々な風景などを紹介しました。
野口宇宙飛行士によるミッションの解説が終わると、質疑応答の時間が設けられました。「ISSで撮影した写真で、最も感動したものは何ですか」という質問に、野口宇宙飛行士は、富士山の写真と、キューポラから撮影した丸く見える地球の写真のふたつを挙げ、「ISSからは地球が丸く見えるのですか、という質問を良く頂いていたのですが、今回の写真で、その証拠を見せられたのではないかと思います」と述べました。
質疑応答が終わると、次に、「宇宙と触れ合う子供たち」と題し、野口宇宙飛行士と5名のゲストによるトークショー第1部が行われました。野口宇宙飛行士が軌道上で行ったイベントに参加した子供たちをゲストに迎え、それぞれのイベントの内容や、イベントに向けた準備の様子などが紹介されました。
トークショー第1部に続いて、「人が見た宙・空からの地球」と題し、野口宇宙飛行士と3名のゲストによるトークショー第2部が行われました。
航空機の機上から見た地球温暖化の進行や、森林火災が地球温暖化に及ぼす影響と、航空機や衛星による火災発生の広域の監視や早急な感知の重要性、ISSにカメラやセンサを搭載し、地球観測衛星としての役割を持たせる計画などが紹介され、空や宇宙、人の目や衛星など、様々な視点から地球を見ることの意義や重要性が語られました。
野口宇宙飛行士は、ISSに長期滞在した宇宙飛行士の視点から、観測機器など機械の目による地球観測とともに、人間の目と感覚による地球観測の可能性を語りました。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4281日経過しました
ISSの熱制御システム復旧に向け、第1回目の船外活動を実施
船外活動を行うカードウェル、ウィ―ロック両宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
第24次長期滞在クルーのISS滞在は、アレクサンダー・スクボルソフ、トレーシー・カードウェル、ミカエル・コニエンコ宇宙飛行士は128日、ダグラス・ウィーロック、フョードル・ユールチキン、シャノン・ウォーカー宇宙飛行士は53日経過しました。
クルーは、ISSの外部熱制御システム(External Thermal Control System: ETCS)異常の対応や、ETCSの復旧に向けた船外活動の準備などに忙しい日々を過ごしました。
8月7日、ETCSの故障した1系統の復旧に向けた船外活動の第1回目が行われ、カードウェル、ウィーロック両宇宙飛行士は、冷却システムに液体アンモニアを循環させるためのポンプモジュール(Pump Module: PM)交換のため、配線の固定具の取外しやアンモニア流体配管の着脱コネクタ(Quick Disconnect: QD)を解除する作業などを行いました。
今回の船外活動では、PMの取外しと、船外保管プラットフォーム2(External Stowage Platform: ESP-2)にある予備のPMを移動する作業が予定されていましたが、QDの解除作業に時間を要した上、4本のうち1本のQDの接続を解除して抜こうとした際に少量の液体アンモニアが漏れたため、このQDは接続されたままの状態にされ、予定されていた残りの作業は延期されました。
NASAは、PMの交換に少なくとも残り2回の船外活動が必要と考えています。次回の船外活動は、米国時間8月11日以降に行われる予定です。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から796日経過しました
ISSの熱制御システム異常への対応継続、実験関連の予定は調整中
「きぼう」日本実験棟では、8月1日に発生したISSのETCS異常への対応として、引き続き「きぼう」内の実験装置を一部を除いて停止するとともに、電源系統の1系統を遮断しています。なお、「きぼう」はもうひとつの電源系統で維持されており、「きぼう」内で活動するクルーの安全や、「きぼう」内にある実験装置を含む搭載機器に問題はありません。
2次元ナノテンプレート作製実験は、「デスティニー」(米国実験棟)の冷凍・冷蔵庫(Minus Eighty degree Celsius Laboratory Freezer for ISS: MELFI)で継続されています。実験に使用される試料は、MELFIで10月中旬頃まで実験を続けた後、次に打ち上げられるスペースシャトルで地上に回収される予定です。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、ETCS異常の対応として、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)および超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder: SMILES)の観測を中断し、装置の温度を保つため、ヒーターによる温度管理を行っている状態で待機しています。なお、全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)は観測運用を継続しています。
「きぼう」での今週以降の実験関連の予定は、ISSのETCS異常への対応に伴い、調整中です。ETCSの復旧後、実験計画の見直しや日程の調整を行い、今後の実験に向けた準備などを再開する予定です。