今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1678日経過しました
マランゴニ対流実験などを継続、Hicari実験の準備作業を実施
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、流体実験ラックの流体物理実験装置(Fluid Physics Experiment Facility: FPEF)を使用して、「マランゴニ対流におけるカオス・乱流とその遷移過程」(Marangoni Exp/MEIS)実験の第5シリーズを継続しています。
この実験は、地上では重力の影響で観察が難しいマランゴニ対流(水などの液体に生じる表面張力の強さが液体の温度や濃度差で変わることによって発生する流れ)の様子を微小重力環境で詳しく観察し、そのメカニズムを明らかにすることを目的としています。
勾配炉実験ラックの温度勾配炉(Gradient Heating Furnace: GHF)では、2012年12月26日から28日にかけて、「微小重力下におけるTLZ法による均一組成SiGe結晶育成の研究」(Hicari)実験の準備作業を行いました。この作業は1月6日から25日にかけても引き続き実施する計画です。
Hicari実験は、JAXAが開発した結晶成長方法であるTLZ法(温度勾配で溶液濃度を制御する方法)を宇宙実験に適用し、規則正しい分子配列の結晶を作り、高性能半導体開発の基礎データを取得することを目的としており、半導体産業や光通信技術への貢献が期待されます。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、ポート共有実験装置(Multi-mission Consolidated Equipment: MCE)に搭載した5種類のミッション機器による実験運用を継続しています。また、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用、超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder: SMILES)の後期運用が続けられています。
【Pick Up】Medaka Osteoclast実験の紹介記事や関連コラムのご案内
2012年12月24日、「きぼう」日本実験棟船内実験室で行っていた「メダカにおける微小重力が破骨細胞に与える影響と重力感知機構の解析」(Medaka Osteoclast)実験を終了しました。この実験は海外からも注目され、米国のスミソニアン博物館のブログにも紹介記事(英語ページ)が掲載されました。
きぼう利用フォーラムのコラムコーナーでは、この実験の関連コラム2編を掲載していますので、ぜひご覧ください。