ISS・きぼうウィークリーニュース第439号
2011年7月12日
今週の国際宇宙ステーション(ISS)と古川宇宙飛行士
最初のISS構成要素打上げから4617日経過しました
第28次長期滞在クルー
アンドレイ・ボリシェンコ(コマンダー、ロシア)、アレクサンダー・サマクチャイエフ(ロシア)、ロナルド・ギャレン(NASA)宇宙飛行士のISS滞在は97日、マイケル・フォッサム(NASA)、古川聡(JAXA)、セルゲイ・ヴォルコフ(ロシア)宇宙飛行士のISS滞在は32日経過しました。
古川宇宙飛行士のISS長期滞在1ヶ月経過、任務の遂行に奮闘
最後のスペースシャトル・アトランティス号の打上げ(出典:JAXA/NASA/Bill Ingalls)
アトランティス号の打上げを見守る古川宇宙飛行士ら第28次長期滞在クルー(出典:JAXA/NASA)
古川宇宙飛行士ら国際宇宙ステーション(ISS)の第28次長期滞クルーは、スペースシャトル・アトランティス号(STS-135ミッション)の到着に向けた準備などに忙しい日々を過ごしました。
7月9日、アトランティス号がNASAケネディ宇宙センター(KSC)から打ち上げられ、古川宇宙飛行士らはISSにて打上げの様子を見守りました。
古川宇宙飛行士はTwitterにて、「最後のスペースシャトルが無事打ち上がりました。ISSでは6人のクルー全員が仕事の手を一時休めて集まり、NASA TVの映像を見ました」とツイートしています。
ISS長期滞在開始から1ヶ月が経過し、古川宇宙飛行士はしばしば“休日返上”で科学実験やメンテナンス作業など任務の遂行に奮闘しています。
滞在開始当初の宇宙酔いにも負けず、体液シフトの様子や宇宙で感じる満腹感についてなど、Twitterを活用して自身の体の変化を医師の視点からリポートするほか、最近ではISSから撮影した地球の写真を題材にしたクイズを出題するなど、ISSでの生活に余裕もでてきた模様です。
ホームページでは、古川宇宙飛行士のISSでの1日を紹介する映像を掲載していますので、ぜひご覧ください。
インフォメーション
7月31日(日)開催「国際宇宙ステーション利用シンポジウム」参加者募集
JAXAは、「国際宇宙ステーション利用シンポジウム~日本の復興・再生に向けた貢献~」を、7月31日(日)午後1時から東京都千代田区の丸ビルホール&コンファレンススクエアにて開催します。
本シンポジウムはビジネスパーソン、メディア、官公庁、自治体、公的各機関役職員などが対象となります。参加は無料ですが事前申し込みが必要です。プログラムの詳細や参加申込み方法についてはホームページをご覧ください。多くの皆様のご参加をお待ちしています。
STS-135ミッションの状況
アトランティス号の打上げ成功、最後のスペースシャトルミッション開始
ISSに入室するSTS-135クルーと歓迎する第28次長期滞在クルー(出典:JAXA/NASA)
スペースシャトル・アトランティス号(STS-135ミッション)は、7月9日午前0時29分にNASAケネディ宇宙センター(KSC)から打ち上げられ、7月11日午前0時07分に国際宇宙ステーション(ISS)へドッキングしました。
当初、アトランティス号は7月9日午前0時26分に打ち上げられる予定でしたが、打上げ31秒前の時点で、外部燃料タンク(External Tank: ET)頂部の酸素ガス・ベントアームの格納状態を確認するため、打上げに向けたカウントダウンが一時的に停止されました。その後、格納状態に問題のないことが確認されたため、打上げに向けたカウントダウンが再開され、アトランティス号は打ち上げられました。
STS-135クルーは古川宇宙飛行士らISSの第28次長期滞在クルーの歓迎を受け、軌道上での共同作業を開始しました。
7月11日から12日にかけて、補給物資などを搭載した「ラファエロ」(多目的補給モジュール2)が、「ハーモニー」(第2結合部)の下側に取り付けられ、起動作業が行われました。起動後にはクルーがラファエロに入室し、物資の移送作業を開始しました。また、7月12日から13日にかけて実施される船外活動に向けた準備などを行いました。
今回のミッションでは、第28次長期滞在クルーのロナルド・ギャレン、マイケル・フォッサム両宇宙飛行士の2名が船外活動を担当します。また、古川宇宙飛行士が船外活動ユニット(Extravehicular Mobility Unit: EMU)の装着補助などの支援作業を担当します。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1132日経過しました
CsPINs実験の第2シリーズ、Hair実験のサンプル採取を実施
CsPINs実験関連の作業を行う古川宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、細胞実験ラックの細胞培養装置(Cell Biology Experiment Facility: CBEF)を使用して、生命科学実験「植物の重力依存的成長制御を担うオーキシン排出キャリア動態の解析」(CsPINs)の第2シリーズの2回目を7月5日から6日にかけて、3回目を7月7日から8日にかけて実施し、採取した実験試料サンプルを冷凍・冷蔵庫(Minus Eighty degree Celsius Laboratory Freezer for ISS: MELFI)に保管しました。
CsPINs実験の第2シリーズで採取した実験試料サンプルは、スペースシャトル・アトランティス号(STS-135ミッション)で地上に回収され、詳細な分析が行われる予定です。
そのほか、7月7日には、「長期宇宙滞在宇宙飛行士の毛髪分析による医学生物学的影響に関する研究」(Hair)の一環として、宇宙飛行士の毛髪の採取を行いました。この実験は、宇宙環境が人体に及ぼす影響を毛髪分析から評価し、宇宙飛行士の健康管理に役立てることを目的としています。