今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から82日経過しました
マランゴニ対流実験開始! 宇宙実験室いよいよ始動
8月22日、「きぼう」日本実験棟での最初の科学実験「マランゴニ対流におけるカオス・乱流とその遷移過程」(代表研究者:諏訪東京理科大学 河村洋教授)が開始されました。
マランゴニ対流とは、水などの液体に生じる表面張力の強さが液体の温度や濃度差で変わることによって発生する流れで、地上では重力の影響で観察が難しいため、微小重力環境でマランゴニ対流の様子を詳しく観察し、その法則を明らかにすることが実験の目的です。
実験は、船内実験室にある流体実験ラックの流体物理実験装置(Fluid Physics Experiment Facility: FPEF)で行われました。まず装置内の2枚のディスクの間でシリコーンオイルを円筒状の形(液柱)に伸長させました。次いで、液柱の両端の温度を制御して液柱に温度差を発生させ、表面張力対流(マランゴニ対流)が生じることを確認しました。その後、FPEFに搭載された観測装置を用いて、流れの速さや方向が変化していく様子の画像や、液柱表面の温度分布などのデータの収集を開始しました。実験は、10月下旬まで5回に分けて行われる予定です。
- 「きぼう」での実験を開始しました ※詳しい情報はこちら
- 宇宙で明らかになる流れの世界マランゴニ対流の不思議
先週に引き続き、「きぼう」ロボットアームの機能確認作業を実施
8月22日から23日にかけて、「きぼう」運用管制員とグレゴリー・シャミトフ宇宙飛行士は、船内保管室外部のターゲットを船外実験装置に見立ててロボットアームを動かし、ロボットアーム手首カメラの画像からターゲットとの距離を測定する試験を行いました。試験中に一部、想定と異なるデータが得られたため、試験を中断し、得られたデータを評価中です。評価が終わり次第、残りの試験を行う予定です。
この距離測定機能は、STS-127(2J/A)ミッションで打ち上げられる船外実験プラットフォームに船外実験装置を取り付ける際に使用されます。