今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から313日経過しました
JAXAの研究チームによるFACET実験開始、EPOなどを実施
4月9日、「きぼう」日本実験棟では、先端材料の結晶成長実験「ファセット的セル状結晶成長機構の研究(FACET)」が開始されました。
この実験の開始に先立ち、4月2日、若田宇宙飛行士により、「きぼう」船内実験室の流体実験ラックに搭載されている溶液結晶化観察装置(Solution Crystallization Observation Facility: SCOF)への実験用セルの取付けが行われました。その後、4月6日に筑波宇宙センターからの遠隔操作により実験装置の動作確認を行い、4月9日13時30分から実験が開始されました。
FACET実験では、対流の生じない微小重力ならではの環境で、電子機器や光学部品など最先端材料に多く使われているファセット結晶(平らな面を持つ結晶)の界面の成長過程や形態を詳細に観察し、結晶成長のメカニズムを解き明かすことを目的としています。
本実験で得られた結果は、より高品質な結晶成長手法の確立や、材料の製造工程への応用、新しい機能を持った材料を創り出すことなど、半導体や他の最先端材料の量産化や特性向上への知見をもたらします。
そして将来的には、太陽電池パネルによるクリーンエネルギーの普及や、超伝導材料の特性を向上させることで、リニアモーターカーなど大量輸送手段の普及や、携帯電話の基地局など情報通信網の拡充などへの貢献が期待されます。実験は、今後約3ヵ月間にわたり行われる予定です。
代表研究者の稲富裕光JAXA宇宙科学研究本部准教授は、「地上実験では見たことのない美しいファセットや干渉縞が観察されました。これからもこのような画像が続々と得られるかと思うと、大変興奮しています」と実験の開始について語りました。
そのほか、4月8日には、文化・人文社会科学利用パイロットミッション(Education Payload Observation: EPO)「ISS宇宙飛行士のMoon Score」が行われ、若田宇宙飛行士は、「きぼう」の窓から月を撮影しました。