ISS・きぼうウィークリーニュース第336号
2009年4月 7日
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から306日経過しました
FACET実験の準備や簡易型生体機能モニター装置の検証を実施
軌道上でFACET実験の準備を行う若田宇宙飛行士(提供:NASA)
「きぼう」日本実験棟で次に行われる科学実験、「ファセット的セル状結晶成長機構の研究(FACET)」に向けて、4月2日、若田宇宙飛行士は「きぼう」船内実験室の溶液結晶化観察装置(Solution Crystallization Observation Facility: SCOF)にFACET実験用セルを取り付ける作業を行いました。
FACET実験では、対流の生じない微小重力ならではの環境で、結晶が平らな面状(ファセット)に成長する様子を詳細に観察します。結晶成長の過程を解き明かすことで、電子機器や光学部品の材料に多く使われている化合物半導体や酸化物結晶について、より高品質な結晶成長の手法の確立や、材料の製造工程への応用、新しい機能を持った材料を創り出すことなどへの発展が期待されます。
実験では、SCOFに取り付けられた実験セルの内部で、試料の溶液から結晶が成長する過程を顕微鏡と干渉計を用いて観察し、結晶の形、結晶周辺の温度や濃度の変化を詳細に調べます。FACET実験は4月9日から開始される予定です。
ホルター心電計(左)とハイビジョンカメラ(右)
JAXAユーザー運用エリアにてデータ取得状況を見守る関係者
4月3日には、地上における遠隔医療や在宅医療の充実に役立てることを目的とした「軌道上における簡易型生体機能モニター装置の検証」の実験が行われ、若田宇宙飛行士によるホルター心電計を用いた生体機能モニターデータと、ハイビジョンカメラによる映像データ(電極装着状況、電極の皮膚への影響、肌の色など)が取得されました。今後、取得されたデータを解析し、ホルター心電計による計測技術や遠隔診断技術の技術検証を行う予定です。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから3791日経過しました
第18次/第19次長期滞在クルー交代セレモニーが行われました
交代セレモニーでの、若田宇宙飛行士(最右)によるクルー紹介の様子(提供:NASA)
第19次長期滞在クルーのISS滞在は、ゲナディ・パダルカ、マイケル・バラット両宇宙飛行士は10日、若田光一宇宙飛行士は20日が経過しました。第18次長期滞在クルーのマイケル・フィンク、ユーリ・ロンチャコフ両宇宙飛行士のISS滞在は175日経過しました。
米国時間4月2日、第18次/第19次長期滞在クルーの交代セレモニーが行われ、第18次長期滞在クルーコマンダーのフィンク宇宙飛行士から、第19次長期滞在クルーコマンダーのパダルカ宇宙飛行士へ指揮権移譲が行われました。これにより、若田宇宙飛行士は正式に第19次長期滞在クルーとなりました。
第18次長期滞在クルーのフィンク、ロンチャコフ両宇宙飛行士と、宇宙旅行者のチャールズ・シモニー氏を乗せたソユーズ宇宙船(17S)の帰還は4月7日に予定されていましたが、当初の着陸予定地の状態が良くないため、着陸予定地が変更され、帰還も1日延期されました。
17Sは4月8日午後4時15分に帰還する予定です。
トピックス
宇宙飛行士候補者のJAXA基礎訓練開講式が開催されました
大西(右)、油井(左)両宇宙飛行士候補者
4月3日、宇宙飛行士候補者のJAXA基礎訓練開講式が筑波宇宙センターで開催されました。
大西卓哉宇宙飛行士候補者は、「人と人とのつながりを大切にすること、訓練を楽しむ気持ちを忘れないことを遵守して、これからの基礎訓練に邁進することを誓います」と、油井亀美也宇宙飛行士候補者は、「訓練をサポートしてくださる皆様方および国民の皆様方に対する感謝の気持ちを忘れないこと、ひとつひとつの訓練に誠心誠意全力で臨むことを忘れずに、今後の基礎訓練に邁進することを誓います」と、それぞれ訓練に向けた決意を宣誓しました。
ふたりの宇宙飛行士候補者は、4月1日付でJAXAに入社し、国内でのオリエンテーションの後、2年程度NASAの宇宙飛行士候補者訓練を受け、宇宙飛行士に必要となる語学・宇宙工学の知識、ISS/「きぼう」/宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle: HTV)のシステムの概要などを学びます。候補者訓練の修了後、これらの訓練結果の評価により、正式にJAXA宇宙飛行士に認定されます。