ISS・きぼうウィークリーニュース第472号
2012年3月 6日
トピックス
星出宇宙飛行士、ソユーズ宇宙船による飛行に向けた訓練をプレス公開
訓練公開時の(右から)星出彰彦、ユーリ・マレンチェンコ、サニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士(出典:JAXA/GCTC)
2月28日、ロシアのモスクワ郊外「星の街」にあるガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)にて、星出宇宙飛行士ら国際宇宙ステーション(ISS)第32次/第33次長期滞在クルーの訓練の様子がプレス公開され、多くの報道関係者が集まりました。
星出宇宙飛行士は、サニータ・ウィリアムズ、ユーリ・マレンチェンコ両宇宙飛行士とともにソユーズ宇宙船のシミュレータに乗り込み、ロシア語表記の計器や手順書を見ながら、インストラクターの指示に従い、打上げ時のソユーズ宇宙船の操作方法などを確認しました。また、火災の発生を模擬した緊急事態への対応訓練も実施しました。
訓練終了後の記者会見で、星出宇宙飛行士は「日本の宇宙開発がここまできたというところを見せたい」とISS長期滞在に向けた意気込みを語りました。また、訓練開始前に受けた報道関係者からの質問では、ISSで何をしたいかについて、「予定されている様々な実験を確実にこなしたい。再び宇宙から地球を見ることを楽しみにしています」と答えました。
ホームページでは、星出宇宙飛行士長期滞在コンテンツをリニューアルしました。ISS滞在概要や滞在中に実施する実験の紹介ページを追加したほか、連載企画「宇宙飛行士 星出彰彦ヒストリー」と参加型企画の「星出&『きぼう』検定」を公開しています。検定では全問正解すると星出宇宙飛行士からの認定証が贈呈されます。皆様の挑戦をお待ちしています。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1370日経過しました
MSPRの燃焼実験チャンバーの動作確認終了、船外実験装置の観測運用継続
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、2月28日から3月2日にかけて行われていた多目的実験ラック(Multi-purpose Small Payload Rack: MSPR)の燃焼実験チャンバーの動作確認を終了しました。その後、燃焼実験チャンバーはMSPRから取り外され、「きぼう」船内保管室に保管されました。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4855日経過しました
第30次長期滞在クルー
ダニエル・バーバンク(コマンダー、NASA)、アントン・シュカプレロフ(ロシア)、アナトーリ・イヴァニシン(ロシア)宇宙飛行士のISS滞在は111日、オレッグ・コノネンコ(ロシア)、アンドレ・カイパース(ESA)、ドナルド・ペティット(NASA)宇宙飛行士のISS滞在は73日経過しました。
ATV3は搭載品の積み直しのため、当初の予定から打上げを延期
3月9日に予定されていた欧州補給機(Automated Transfer Vehicle: ATV)3号機(ATV3)「エドアルド・アマルディ」の打上げは、与圧部内の搭載品の固定状態に緩みが見つかったため、3月23日に延期されました。
ATV3は、フランス領ギアナのクールー宇宙基地で打上げに向けた準備が進められており、最後の搭載品を与圧部に積み込んだ後にハッチを閉じ、フェアリングへの格納、アリアン5ロケットとの結合まで完了していました。しかし、打上げ準備審査会(Launch Readiness Review: LRR)前の確認作業中に、最後の搭載品を与圧部内のラックに固定するストラップに緩みが発見されたため、フェアリングを外して作業員がATV3の与圧部内に入り、搭載品を固定し直す作業が必要となりました。
2月29日、「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)のエンジンを使用したISSのリブースト(軌道上昇)が行われ、ISSの平均軌道高度は2.1km上昇して約391kmとなりました。今回のリブーストでは、ソユーズ宇宙船(28S)の帰還、プログレス補給船(47P)とソユーズ宇宙船(30S)のドッキングに向けた軌道調整も併せて行われました。
インフォメーション
平成23年度「きぼう」利用フォーラム総会開催、参加者募集
JAXAきぼう利用プロモーション室は、きぼう利用フォーラム会員間でのコミュニケーションを活性化させ、「きぼう」利用に向けたアイデア構想に取り組んでいただく環境作りの一環として、第1回「きぼう」利用フォーラム総会を、3月27日(火)に筑波宇宙センターにて開催します。
希望者向けに特別見学ツアーを予定しているほか、総会では古川宇宙飛行士も討論へ加わります。
参加は無料ですが、フォーラムへの会員登録と事前申込みが必要です。詳細はホームページをご覧ください。多くの皆様のご参加をお待ちしています。
古川宇宙飛行士ISS長期滞在ミッション報告会in Tokushima、参加者募集
JAXAと徳島大学は、第28次/第29次長期滞在クルーとして国際宇宙ステーション(ISS)に滞在した古川宇宙飛行士によるISS長期滞在ミッション報告会と、「きぼう」およびISSで実施した徳島大学の実験に関する成果報告会を、3月21日(水)に徳島大学にて開催します。
古川宇宙飛行士からのISS長期滞在ミッション報告のほか、微小重力環境における骨量減少予防について研究する松本俊夫教授、筋肉の萎縮について研究する二川健教授、宇宙生活とLEDについて講演する高橋章教授から、直接話を聞けるまたとない機会です。
参加申込みを引き続き受け付けておりますので、多くの皆様のご参加をお待ちしています。