今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から831日経過しました
JAXA PCG実験の3回目を開始、マランゴニ対流実験の準備作業などを実施
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、9月13日から、流体実験ラックの蛋白質結晶生成装置(Protein Crystallization Research Facility: PCRF)を使用して、「タンパク質結晶生成実験」(JAXA PCG)の3回目を開始しました。
この実験で使用される試料は、プログレス補給船(39P)に搭載され、9月12日にISSに到着しました。到着後、ISSクルーにより試料を搭載したセルユニット2式が取り出され、写真撮影や点検作業が行われた後、PCRFにセルユニットが取り付けられました。その後、地上からのコマンドにより、9月13日午前4時頃に実験を開始しました。
この実験では、重力による対流や沈降のない微小重力環境を利用して高品質なタンパク質結晶を生成し、地上でその構造を詳細に解析することで、環境負荷の少ないバイオ燃料の開発につながるセルロース分解酵素などの構造の解明や、感染症やインフルエンザ等の様々な疾病の治療薬の開発に貢献することが期待されます。
実験は約2ヶ月半にわたり継続して実施され、生成されたタンパク質結晶は、11月末頃に帰還が予定されているソユーズ宇宙船(23S)で地上に回収される予定です。
そのほか、9月10日および13日から14日にかけて、「マランゴニ対流におけるカオス・乱流とその遷移過程」の第3シリーズに向けた準備作業として、流体物理実験装置(Fluid Physics Experiment Facility: FPEF)の供試体交換作業を行いました。
また、溶液結晶化観察装置(Solution Crystallization Observation Facility: SCOF)では、「ファセット的セル状結晶成長機構の研究」(FACET)実験を断続的に実施し、高精度データの取得を行っています。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。なお、超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder: SMILES)は、観測運用の再開に向けた原因調査および復旧作業が引き続き進められています。
そのほか、2次元ナノテンプレート作製実験を「デスティニー」(米国実験棟)の冷凍・冷蔵庫(Minus Eighty degree Celsius Laboratory Freezer for ISS: MELFI)で引き続き行っています。