ISS・きぼうウィークリーニュース第441号
2011年7月26日
今週の国際宇宙ステーション(ISS)と古川宇宙飛行士
最初のISS構成要素打上げから4631日経過しました
第28次長期滞在クルー
アンドレイ・ボリシェンコ(コマンダー、ロシア)、アレクサンダー・サマクチャイエフ(ロシア)、ロナルド・ギャレン(NASA)宇宙飛行士のISS滞在は111日、マイケル・フォッサム(NASA)、古川聡(JAXA)、セルゲイ・ヴォルコフ(ロシア)宇宙飛行士のISS滞在は46日経過しました。
アトランティス号を見送り、古川宇宙飛行士らは通常のISS運用体制に戻る
「ユニティ」(第1結合部)にて古川宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
最後のスペースシャトル・アトランティス号(STS-135ミッション)を見送り、通常の体制へと戻った古川宇宙飛行士ら国際宇宙ステーション(ISS)の第28次長期滞在クルーは、7月20日は振替休暇を取得し、ISSの軽いメンテナンス作業や毎日の運動などで1日を過ごしました。
7月21日と22日、古川宇宙飛行士は「きぼう」日本実験棟船内実験室にて、流体実験ラックの溶液結晶化観察装置(Solution Crystallization Observation Facility: SCOF)の定期点検を行いました。また、他のクルーと協力して、アトランティス号によりISSに運ばれた大量の物資が保管されている恒久型多目的モジュール(Permanent Multipurpose Module: PMM)内の整理と清掃作業を行いました。
古川宇宙飛行士の宇宙滞在日数が、ソユーズ宇宙船(27S)の打上げから47日目を迎えた7月24日、日本人宇宙飛行士の宇宙滞在累積日数が494日目となり、日本がドイツを抜いて歴代3位となりました。なお、国別の宇宙滞在累積日数の歴代1位はロシア、2位が米国、ドイツが4位となり、5位はフランスです。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1146日経過しました
「きぼう」での実験成果を地上に回収、実験装置の点検作業などを実施
7月21日、「微小重力環境を利用した2次元ナノテンプレートの作製」(2D Nano Template)実験の実験試料サンプルなど、JAXAの実験成果がスペースシャトル・アトランティス号(STS-135ミッション)で地上に回収されました。これらの実験試料サンプルは、今後詳細な分析が行われる予定です。
「きぼう」船内実験室では、流体実験ラックの溶液結晶化観察装置(Solution Crystallization Observation Facility: SCOF)の定期点検を行ったほか、7月25日から、多目的実験ラック(Multi-purpose Small Payload Rack: MSPR)の初期機能確認の準備作業を開始しました。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。
STS-135ミッションの結果
アトランティス号は7月21日にKSC へ着陸し、最後のミッションを完遂
最後のスペースシャトル・アトランティス号の着陸(出典:JAXA/NASA/Bill Ingalls)
地上に帰還したSTS-135クルー(出典:JAXA/NASA)
KSCに着陸後、オービタ整備施設(Orbiter Processing Facility: OPF)に移動されるアトランティス号(出典:JAXA/NASA/Bill Ingalls)
7月21日午後6時57分、スペースシャトル・アトランティス号(STS-135ミッション)はNASAケネディ宇宙センター(KSC)へ着陸し、12日と18時間28分にわたるミッションを終えました。
アトランティス号は合計33回、約307日間におよぶ宇宙飛行を完遂し、30年にわたるNASAのスペースシャトルミッションプログラムに幕を下ろしました。
国際宇宙ステーション(ISS)からアトランティス号の帰還を見守った古川宇宙飛行士は、自身のTwitterにて「最後のスペースシャトル・アトランティス号のクルーが無事帰還。大気圏突入は、飛行中最もリスクが高い瞬間のひとつで、仲間としては神様にお祈りする心境。よかった、よかった」とツイートしています。
アトランティス号は、5,000kgを超える補給物資、実験用の試料や装置などを「ラファエロ」(多目的補給モジュール2)とアトランティス号のミッドデッキに搭載してISSに運びました。また、ロボットによる燃料補給ミッション(Robotic Refueling Mission: RRM)実験装置をISSに運びました。
なお、今回のミッションはクルーの人数が少なく、STS-135クルーの作業負荷を軽減するため、古川宇宙飛行士らISSの第28次長期滞在クルーは、船外活動とその支援作業、ラファエロとISS間の物資移送作業など、STS-135クルーと協力して多くの軌道上作業を行い、STS-135ミッションの成功に貢献しました。
インフォメーション
夏のイベントご案内、筑波宇宙センターの新企画と相模原キャンパス特別公開
筑波宇宙センターの展示施設「プラネットキューブ」では、「夏のダブル企画」として地球観測衛星「だいち」のパネル展と、宇宙に関する工作や実験教室、ミニ講演などに参加できるサマーラボを8月31日(水)まで開催しています。
相模原キャンパスでは、7月29日(金)と30日(土)の2日間にわたり特別公開を開催します。「はやぶさ」試料解析近況報告などのほか、有人宇宙開発関連では山崎宇宙飛行士のメッセージ映像や将来の月・惑星探査関連映像の上映などが行われる予定です。
それぞれのイベントの詳細はホームページをご覧ください。多くの皆様のご来場をお待ちしています。
国際宇宙ステーション利用シンポジウムの模様をインターネットライブ中継予定
7月31日(日)午後1時から開催の「国際宇宙ステーション利用シンポジウム~日本の復興・再生に向けた貢献~」について、参加者募集は締め切りましたが、会場にお越しできない皆様にもシンポジウムの模様をご覧頂けるよう、インターネットライブ中継を行う予定です。詳細はホームページで告知しますので、ぜひご覧ください。