今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4099日経過しました
プログレス補給船(36P)が到着、エンデバー号は2月10日に到着予定
「ハーモニー」(第2結合部)に集合したISS第22次長期滞在クルー(提供:NASA)
ISSに接近するプログレス補給船(36P)(提供:NASA)
エンデバー号の打上げ(提供:NASA)
第22次長期滞在クルーのISS滞在は、ジェフリー・ウィリアムズ、マキシム・スライエフ両宇宙飛行士は130日、オレッグ・コトフ、野口聡一、ティモシー・クリーマー宇宙飛行士は49日が経過しました。
クルーは、プログレス補給船(36P)のドッキングの監視や搭載された物品の移送作業、スペースシャトル・エンデバー号(STS-130ミッション)の到着に向けた準備などに忙しい日々を過ごしました。
36Pは2月3日午後0時45分にロシアのソユーズロケットによりカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、2月5日午後1時26分にISSへドッキングしました。野口宇宙飛行士は、他のISSクルーとともに、36Pのドッキングを監視しました。
ドッキング後には、36Pに搭載された物品をISSへ搬入する作業が行われました。野口宇宙飛行士は、36Pで輸送されたタンパク質結晶生成実験(JAXA PCG)のセルユニットを取り出し、写真撮影や点検作業を行った後、「きぼう」日本実験棟船内実験室の流体実験ラックにある蛋白質結晶生成装置(Protein Crystallization Research Facility: PCRF)にセルユニットを取り付ける作業を行いました。その後、JAXA PCG実験は2月5日夜に開始されました。
野口宇宙飛行士は、そのほか、船外活動ユニット(Extravehicular Mobility Unit: EMU)のサイズを調整する作業や船外活動を支援する機器の準備など、STS-130ミッションで予定されている船外活動に向けた準備作業、STS-130ミッションで地上に持ち帰る物資の梱包作業などを行いました。
NASAケネディ宇宙センター(KSC)周辺の天候不良により、当初の予定より1日遅れて2月8日午後6時14分に打ち上げられたエンデバー号は、2月10日にISSへドッキングする予定です。
野口宇宙飛行士らISSクルー5名は、STS-130クルー6名をISSに迎え、エンデバー号がドッキングしている約9日間の間に、「トランクウィリティー」(第3結合部)やキューポラの設置などの作業を、STS-130クルーとともに行います。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から614日経過しました
マランゴニ対流実験は順調に進行、タンパク質結晶生成実験を開始
マランゴニ対流実験で生成された液柱の画像(2月1日)(©JAXA)
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、「マランゴニ対流における時空間構造」実験が2月2日まで行われ、実験データが順調に取得されました。マランゴニ対流実験は、STS-130ミッション中は一時中断され、ミッション終了後に再開される予定です。
2月5日からは、「タンパク質結晶生成実験」(JAXA PCG)が開始されました。
この実験では、重力による対流や沈降のない微小重力環境を利用して高品質なタンパク質結晶を生成し、地上でその構造を詳細に解析することで、環境負荷の少ないバイオ燃料の開発につながるセルロース分解酵素などの構造の解明や、新薬の開発などへの貢献が期待されます。
そのほか、「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)、全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)および超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder: SMILES)の観測運用が順調に進められています。
STS-130ミッションの状況
エンデバー号は当初の予定より1日遅れて、2月8日に打上げ
キューポラのモックアップ(実物大模型)を使用した訓練の様子(提供:NASA)
スペースシャトル・エンデバー号(STS-130ミッション)は、2月8日午後6時14分にNASAケネディ宇宙センター(KSC)から打ち上げられました。エンデバー号は、飛行3日目の2月10日に国際宇宙ステーション(ISS)へドッキングする予定です。
STS-130ミッションはISSの組立・補給ミッションで、「トランクウィリティー」(第3結合部)とキューポラを運搬し、ISSに取り付けます。
トランクウィリティーは「ハーモニー」(第2結合部)とほぼ同型のモジュールで、「ユニティ」(第1結合部)の左舷側に設置されます。設置後は、空気浄化システム(Atmospheric Revitalization System: ARS)などのラックのほか、米国のISSトイレ、運動装置などが他のISSのモジュールから移設され、ISSクルーの生活の場として使用されます。
キューポラは7枚の窓とISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)の操作盤などを備えた観測用のユニットで、SSRMSの操作や船外活動、宇宙機の接近・分離時の目視に使用されるほか、視野が広いため、地球や天体などの観測にも使用できます。
また、本ミッションでは、JAXA搭載品として、「微小重力環境でのナノスケルトン作製」(NANOSKELETON1)の実験試料サンプルがISSに運ばれます。この実験では、微小重力環境を利用してナノレベルの高機能多孔質材料(ナノスケルトン)を創製することで、高効率な太陽光発電や有害物質の除去などへの貢献が期待できます。