ISS・きぼうウィークリーニュース第363号
2009年11月24日
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から537日経過しました
「きぼう」船内実験室の細胞培養装置でふたつの生命科学実験を実施
Rad Silk実験の準備作業の様子(提供:NASA)
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、11月17日から23日にかけて、生命科学実験「カイコ生体反応による長期宇宙放射線曝露の総合的影響評価」(Rad Silk)を実施しました。
本実験は、カイコの卵を休眠状態で宇宙に持って行き、胚発生の初期段階での宇宙放射線の影響を調べることを目的としています。STS-129(ULF3)ミッションで卵を地上へ回収し、卵から孵化した幼虫を飼育して、宇宙放射線と突然変異の発生との関連を明らかにするとともに、次世代への影響についても検討します。
また、11月19日からは、モデル生物(線虫)を使って、筋肉の増加・減少メカニズムに関係する遺伝子情報を調べる実験「線虫C.elegansを用いた宇宙環境におけるRNAiとタンパク質リン酸化」(CERISE)を開始しました。本実験は11月27日まで行う予定です。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の初期機能確認のほか、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder: SMILES)の観測運用が順調に進められています。
トピックス
星出宇宙飛行士のISS長期滞在が決定しました
11月18日、星出彰彦宇宙飛行士が、国際宇宙ステーション(ISS)の第32次/第33次長期滞在クルーとしてISSに長期滞在することが決定しました。
星出宇宙飛行士は、ロシアのソユーズ宇宙船に搭乗して2012年初夏頃から約6ヶ月間ISSに滞在し、日本および国際パートナーの科学実験をはじめとする宇宙環境の利用に重点をおいた活動を行うことになります。
星出宇宙飛行士は、「STS-124(1J)ミッション搭乗やミッションの地上支援を通じて得た経験を生かし、国際的なチームの一員として、各種宇宙実験、ISSおよび日本実験棟きぼうの運用に貢献したいと思います」と搭乗決定にあたっての抱負を述べました。
STS-129ミッションの状況
エクスプレス補給キャリアの設置、3回の船外活動などを終了
ISSに接近するアトランティス号(飛行3日目)(提供:NASA)
第1回船外活動の様子(飛行4日目)(提供:NASA)
ELC-2の設置(飛行6日目)(提供:NASA)
スペースシャトル・アトランティス号(STS-129ミッション)は、飛行3日目の11月19日午前1時51分にISSへドッキングしました。同日、ISS船外で使用する軌道上交換ユニット(Orbital Replacement Unit: ORU)の予備品を搭載したエクスプレス補給キャリア1(Express Logistics Carrier 1: ELC-1)をアトランティス号のペイロードベイ(貨物室)から取り出し、ISSのP3トラスへ設置する作業が行われました。
飛行4日目の11月19日から20日にかけて第1回船外活動が実施され、Sバンドアンテナ(S-band Antenna Structural Assembly: SASA)の予備品をISSのトラス上に保管する作業や「きぼう」ロボットアームのエンドエフェクタ(把持手)の潤滑などが行われました。
飛行6日目の11月21日から22日にかけて第2回船外活動が実施され、「コロンバス」(欧州実験棟)外部へのアンテナの設置などが行われました。飛行6日目にはそのほか、エクスプレス補給キャリア2(Express Logistics Carrier 2: ELC-2)をISSのS3トラスへ設置する作業が行われました。
飛行8日目の11月23日から24日にかけて第3回船外活動が実施され、ELC-2に搭載された高圧ガスタンク(High Pressure Gas Tank: HPGT)を「クエスト」(エアロック)外部へ取り付ける作業などが行われました。
アトランティス号は飛行10日目の11月25日午後6時53分にISSから分離し、機体の熱防護システム(Thermal Protection System: TPS)の点検や船内の片付けなど帰還に向けた準備を行った後、飛行12日目の11月27日午後11時44分にNASAケネディ宇宙センター(KSC)に着陸する予定です。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4022日経過しました
アトランティス号が到着、ミッションに関わる作業に忙しい1週間
食事をとるISSクルーとSTS-129クルー(提供:NASA)
第21次長期滞在クルーのISS滞在は、フランク・デヴィン、ロバート・サースク、ロマン・ロマネンコ宇宙飛行士は180日、ジェフリー・ウィリアムズ、マキシム・スライエフ両宇宙飛行士は53日が経過しました。
ISSクルーは、アトランティス号に搭載された機材をSTS-129クルーとともにISSへ移送する作業や、今後ISSへ取り付けられるモジュールである「トランクウィリティー」(第3結合部)の設置に向けた準備作業などに忙しい日々を過ごしました。
11月19日、ISSにドッキングしたアトランティス号とISS間のハッチが開かれ、ISSクルーはSTS-129クルーを歓迎しました。また、STS-129ミッションで地上へ帰還するニコール・ストット宇宙飛行士が、正式にSTS-129クルーの一員となりました。
ストット宇宙飛行士の第21次長期滞在クルーとしてのISS滞在は79日でした。ストット宇宙飛行士は、STS-129クルーとしてミッションに関わる作業などを行った後、アトランティス号に搭乗して地上へ帰還します。