ISS・きぼうウィークリーニュース第480号
2012年5月 8日
トピックス
「こうのとり」3号機の全機結合完了、打上げに向けた最終準備段階へ
全機結合された「こうのとり」3号機(出典:JAXA)
5月4日、種子島宇宙センターの第2衛星フェアリング組立棟(Second Spacecraft and Fairing Assembly Building: SFA2)にて、宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)の全機結合(打上げ形態に電気的・機械的に機体を結合)が完了しました。
「こうのとり」3号機は、今後、結合後の総合的な機能確認を目的とした全機点検を行い、推進剤の充填、衛星フェアリングへの格納など打上げに向けた最終準備段階を経てH-IIBロケットに搭載され、種子島宇宙センターから打ち上げられる予定です。
「こうのとり」3号機の打上げは、7月21日を目標としています。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1433日経過しました
取得された実験サンプルなどがソユーズ宇宙船に搭載され地上へ回収
軌道上の「きぼう」日本実験棟(出典:JAXA/NASA)
「きぼう」日本実験棟で行っていた実験をソユーズ宇宙船(28S)の帰還に合わせて終了し、取得された実験サンプルなどが28Sで地上に回収されました。
4月25日、「微小重力環境を利用した2次元ナノテンプレートの作製」(再実験)を終了しました。
この実験は、宇宙でナノサイズの物質をプレート(基板)の上に規則的に配列・成長させ、縞状の凹凸でマスクパターン(良質な半導体基板製作のためのテンプレート)を作るものです。
4月27日には、流体実験ラックの蛋白質結晶生成装置(Protein Crystallization Research Facility: PCRF)で実施していた高品質タンパク質結晶生成実験(JAXA PCG)の5回目の実験を終了しました。
今回の実験では、様々な疾病の治療薬の開発などに繋がる96サンプル(48種類のタンパク質)を微小重力環境で結晶化させ、地上で生成したタンパク質の結晶に比べ、より高品質な結晶の取得を目指しました。また、国際協力としてロシアやマレーシアのタンパク質も搭載しました。
そのほか、4月26日に「きぼう」船内の宇宙放射線計測(Area PADLES)で使用した受動積算型宇宙放射線線量計を、回収のため取り外す作業を行いました。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4918日経過しました
第31次長期滞在クルー
オレッグ・コノネンコ(コマンダー、ロシア)、アンドレ・カイパース(ESA)、ドナルド・ペティット(NASA)宇宙飛行士のISS滞在は136日経過しました。ゲナディ・パダルカ(ロシア)、ジョセフ・アカバ(NASA)、セルゲイ・レヴィン(ロシア)宇宙飛行士は5月17日からISS滞在を開始する予定です。
28Sはカザフスタン共和国へ無事着陸、30Sが5月15日打上げ予定
地上へ帰還したバーバンク宇宙飛行士ら28Sクルー(出典:JAXA/NASA/Carla Cioffi)
ダニエル・バーバンク、アントン・シュカプレロフ、アナトーリ・イヴァニシン宇宙飛行士を乗せたソユーズ宇宙船(28S)は、4月27日午後5時18分にISSから分離し、同日午後8時45分にカザフスタン共和国へ無事着陸しました。バーバンク宇宙飛行士らのISS滞在期間は約163日でした。
第31次長期滞在クルーとなったコノネンコ宇宙飛行士らは、新たなクルーが到着するまでの間、3名体制でISSを運用します。新たに第31次長期滞在クルーに加わるパダルカ宇宙飛行士ら3名を乗せたソユーズ宇宙船(30S)は、5月15日午後0時01分にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、5月17日午後1時39分にISSへドッキングする予定です。
4月19日にISSから分離したプログレス補給船(46P)は、軌道上でロシアの技術試験を行った後、4月28日に軌道離脱を行い大気圏に再突入し、太平洋上に安全に投棄されました。
ISSに結合する初の商業輸送機となるドラゴン補給船試験2号機(C2+)の打上げは、5月19日を目標として準備が進められています。
インフォメーション
5月21日の朝、日本各地で金環日食・部分日食が観測できます!
「日食」とは、地球から見て太陽の手前を月が横切るため、太陽が月により隠される現象です。日食のうち、太陽の方が月より大きく見えるため月の周囲から太陽がはみ出して見える場合を「金環日食」、太陽の一部だけが月に隠される場合を「部分日食」、太陽が月によりすべて隠される場合を「皆既日食」と呼びます。
5月21日の朝には、日本全国で部分日食を見られるほか、九州地方南部・四国地方南部・近畿地方南部・中部地方南部・関東地方など広範囲で金環日食が見られます。観測が可能な場所や時間帯、安全な観測方法などの詳細については、国立天文台のホームページで紹介されていますので、ご参照ください。
日本国内で金環日食が観測できるのは、前回は約25年前、1987年9月23日に沖縄本島などで見られた金環日食以来で、次回は約18年後、2030年6月1日に北海道で見られる金環日食まで起こりません。非常に珍しい現象といえるでしょう。この機会に観測してみてはいかがでしょうか。