ISS・きぼうウィークリーニュース第344号
2009年6月 9日
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から369日経過しました
「きぼう」運用開始1周年、「おもしろ宇宙実験」、FACET実験などを実施
口から息を吐いて「空間移動」を行う若田宇宙飛行士
「腕相撲」を行う若田宇宙飛行士(奥)とサースク宇宙飛行士(手前)
「きぼう」日本実験棟の船内実験室が国際宇宙ステーション(ISS)に取り付けられ、起動されてから、2009年6月5日で1周年を迎えました。若田宇宙飛行士は、「記念すべき日にISSでの長期滞在の仕事ができることをとても光栄に思います」とお祝いのメッセージを伝えました。
6月6日、「きぼう」船内実験室で、若田宇宙飛行士による「おもしろ宇宙実験」の3回目が行われました。
「おもしろ宇宙実験」は一般の皆様からアイディアを募集し、総計1,597件の応募の中から、8カテゴリー16項目の実験候補テーマが選定され、4月27日の1回目、5月15日の2回目に続き、3回目となる今回の実験で、すべてのテーマが完了しました。
今回の実験では、「空間移動」と、「二人で行う運動」として「腕相撲」、「握手」、「押し相撲」、「綱引き」の5アイディアを実施しました。
「空間移動」の実験で、若田宇宙飛行士は、扇子や紙であおいだり口から息を吐く反動で、ゆっくりと体を移動させてみせました。また、「二人で行う運動」では、ロバート・サースク宇宙飛行士とともに、「押し相撲」や綱に見立てたタオルを使用した「綱引き」などに挑戦しました。
「腕相撲」ではすぐに体が回転してしまい、勝負がつきませんでした。「握手」は地上と同じようにできましたが、「押し相撲」では押し合った反動で互いに跳ね飛ばされてしまい、「綱引き」では引っ張り合った力の反動で互いに衝突してしまいました。若田宇宙飛行士は、「宇宙では押し相撲も綱引きも無理そうです」と語りました。
「きぼう」ではまた、先端材料の結晶成長実験「ファセット的セル状結晶成長機構の研究(FACET)」で順調にデータの取得が行われたほか、6月2日には、2009年夏期に打上げが予定されている宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle: HTV)技術実証機(初号機)のランデブに備え、HTVがISSに接近したときに双方向通信を行うための近傍通信システム(Proximity Communication System: PROX)の機能確認試験が行われました。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから3854日経過しました
クルーはSTS-127(2J/A)ミッションに向けた準備や船外活動を実施
船外活動の様子(提供:NASA)
第20次長期滞在クルーのISS滞在は、ゲナディ・パダルカ、マイケル・バラット両宇宙飛行士は73日、若田光一宇宙飛行士は83日、フランク・デヴィン、ロバート・サースク、ロマン・ロマネンコ宇宙飛行士は12日が経過しました。
クルーは、STS-127(2J/A)ミッションに向けた準備や船外活動などに忙しい日々を過ごしました。
6月6日には船外活動が実施され、パダルカ、バラット両宇宙飛行士は、ロシアのオーラン宇宙服を着用して、ロシアの小型研究モジュール2(Mini-Research Module2: MRM2)の取付けに向けた準備などを行いました。船外活動は6月10日にも行われる予定です。
STS-127ミッションの準備状況
正式な打上げ日は6月13日に決定、クルーはTCDTに参加
ペイロードの搭載状況を確認するSTS-127クルー(提供:NASA)
TCDTでアストロバンの前に並ぶSTS-127クルー(提供:NASA)
NASAケネディ宇宙センター(KSC)では、スペースシャトル・エンデバー号(STS-127(2J/A)ミッション)の打上げに向けた準備が進められています。
NASAは、米国時間6月3日に開催した飛行準備審査会(FRR)にて、STS-127(2J/A)ミッションの打上げを6月13日午後8時17分に実施することを正式に決定しました。
「きぼう」船外実験プラットフォームと、船外実験装置などを搭載した船外パレットは、米国時間6月1日にエンデバー号のペイロードベイ(貨物室)に搭載されました。また、STS-127クルーは、同6月2日から4日にかけて、KSCにて、ターミナル・カウントダウン・デモンストレーション・テスト(Terminal Countdown Demonstration Test: TCDT)と呼ばれる訓練を行いました。
TCDTでは、射点からの緊急避難訓練、エンデバー号に搭載された「きぼう」船外実験プラットフォームや船外パレットの搭載状況の確認などを行い、最終日には、打上げ時に着用する与圧服(オレンジスーツ)を着て実際にエンデバー号に搭乗するなど、打上げ直前までの仮想のカウントダウンが行われ、クルーも地上要員も本番と同じように作業を行いました。
クルーはTCDT後、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)に移動し、同6月6日から、JSC内の施設で不特定多数の人との接触を減らすための隔離に入りました。その後、同6月8日に打上げに備えて再びKSCに戻りました。