今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから3840日経過しました
水再生システムによる再生水の飲用開始、ISSクルー6人体制に向け準備整う
WRSラック1(左)とWRSラック2(右)(提供:NASA)
再生水を飲む若田宇宙飛行士(左)ら第19次長期滞在クルー(提供:NASA)
セレモニーが行われたMCCの様子(提供:NASA)
第19次長期滞在クルーのISS滞在は、ゲナディ・パダルカ、マイケル・バラット両宇宙飛行士は59日、若田光一宇宙飛行士は69日が経過しました。
5月21日、水再生システム(Water Recovery System: WRS)により再生処理された水の飲用開始を祝うセレモニーが、軌道上とNASAジョンソン宇宙センター(JSC)のミッションコントロールセンター(Mission Control Center: MCC)を結んで行われました。
WRSは、米国のトイレで回収した尿を蒸留して水に換え、空気中の水分を除湿して回収した水や使用済みの水と一緒にろ過/浄化処理して再生し、飲料水などに使用するシステムです。再生された水は、飲料、食事の用意、実験に使用されるほか、米国の酸素生成システムにも使用されます。
セレモニーで、若田宇宙飛行士ら第19次長期滞在クルーは、再生水の入ったバッグを手に乾杯を行った後、実際に再生水を飲みました。
後日、初めて口にした再生水について、若田宇宙飛行士は「今まで、スペースシャトルやロシアのプログレス補給船から運び込まれた水と味は変わりませんでした」と感想を語りました。
再生水の飲用が開始されたことにより、ISS長期滞在クルーが6人体制となる準備が整いました。新たにISS長期滞在クルーに加わる3名の宇宙飛行士が搭乗するソユーズ宇宙船(19S)は、5月27日午後7時34分にロシアのソユーズロケットで、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、5月29日午後9時36分にISSへドッキングする予定です。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から355日経過しました
FACET実験、軌道上における簡易型生体機能モニター装置の検証を実施
書道の作品を披露する若田宇宙飛行士
「きぼう」日本実験棟では、先端材料の結晶成長実験「ファセット的セル状結晶成長機構の研究(FACET)」が順調に行われたほか、5月21日から22日にかけて、地上における遠隔医療や在宅医療の充実に役立てることを目的とした「軌道上における簡易型生体機能モニター装置の検証」の実験が行われ、若田宇宙飛行士によるホルター心電計を用いた生体機能モニターデータが取得されました。
4月3日に行われた1回目のデータ取得に続き、今回は2回目のデータ取得となりました。今後、取得されたデータを解析し、1回目の実験データと併せて、ホルター心電計による計測技術や遠隔診断技術の技術検証を行う予定です。
また、5月18日に若田宇宙飛行士は自由時間を利用して書道を行い、「きぼう」の窓から見た地球を表現した「景雲飛」と、宇宙に対する想いを象徴した言葉「夢 探究心 思いやり」のふたつの作品を「きぼう」船内実験室で披露しました。
トピックス
STS-125ミッションは無事終了、エンデバー号はSTS-127ミッションへ
エドワーズ空軍基地に着陸したアトランティス号(提供:NASA)
ハッブル宇宙望遠鏡の修理を完了したSTS-125ミッションのスペースシャトル・アトランティス号は、5月25日午前0時39分にエドワーズ空軍基地へ無事着陸し、12日と21時間37分にわたるミッションを終えました。着陸を予定していたNASAケネディ宇宙センター(KSC)の天候不良のため、当初の予定から着陸を2日延期し、最終的にエドワーズ空軍基地への着陸となりました。
修理されたハッブル宇宙望遠鏡は、交換された装置の機能確認などを行った後、宇宙観測を再開する予定です。
「きぼう」船外実験プラットフォームと船外パレットが射点に到着
射点に到着したペイロードキャニスター(提供:NASA)
米国時間5月22日、KSCでは、「きぼう」日本実験棟の最後の構成要素である船外実験プラットフォームと、船外実験装置などを搭載した船外パレットを収納したペイロードキャニスターが、STS-127(2J/A)ミッションの打上げに向けて39A射点へ運ばれました。今後、アトランティス号の救援機としての役割を解除されたスペースシャトル・エンデバー号の到着を待って、ペイロードベイ(貨物室)への搭載が行われます。
エンデバー号は、米国時間5月30日に39B射点から39A射点へ移動する予定です。