ISS・きぼうウィークリーニュース第321号
2008年12月 2日
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から180日経過しました
「きぼう」での実験「氷結晶成長におけるパターン形成」が開始されました!
供試体内部で形成された氷の結晶の様子(クA輅AXA/北海道大学)
「きぼう」日本実験棟では、「氷結晶成長におけるパターン形成」(代表研究者:北海道大学低温科学研究所 古川義純教授)の実験が、12月2日から開始されました。
この実験は、対流のない微小重力ならではの環境を使って氷の結晶を成長させ、その様子を観察することで、氷の結晶成長過程に対する理解を深め、多くの物質の結晶成長の仕組みを理解することにも役立ちます。
実験では、供試体内部で、まず円盤状の氷の結晶の形成を行い、その後、写真のような樹枝状の氷の結晶に成長させ、その結晶成長の様子を観察しました。今後、約半年をかけて、さまざまな結晶条件による成長観察データを収集する予定です。
実験の目的、実験で使用される機器、得られる知見などの詳細は以下のページをご覧下さい。
スペースシャトル・エンデバー号(STS-126)のミッション結果
ミッションは無事終了、次のディスカバリー号へ
エンデバー号の着陸(飛行17日目)(提供:NASA)
12月1日午前6時25分、スペースシャトル・エンデバー号はカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地に無事着陸し、15日と20時間30分にわたるミッションを終えました。
飛行17日目の12月1日、フロリダ州のNASAケネディ宇宙センターの天候が着陸の条件に適さなかったため、エンデバー号は代替着陸地であるエドワーズ空軍基地へ着陸しました。
今回のミッションでは、ISS滞在クルーを3名から6名体制とするために必要な、水再生システム(Water Recovery System: WRS)などの機材をISSへ運搬・設置する作業や、船外活動による右舷側太陽電池パドル回転機構(Solar Alpha Rotary Joint: SARJ)の修理作業などが行われました。
WRSの構成要素のひとつである尿処理装置(Urine Processor Assembly: UPA)が停止した問題では、原因究明および装置の改良作業が行われた結果、UPAの正常な稼動が確認され、処理された水のサンプルを取得することができました。
次の打上げが予定されているスペースシャトル・ディスカバリー号(STS-119)では、太陽電池パドルとラジエータを含むS6トラスがISSへ運ばれます。また、若田宇宙飛行士が搭乗し、第18次長期滞在クルーとしてISS長期滞在を開始します。ディスカバリー号は、2009年2月12日以降に打ち上げられる予定です。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから3665日経過しました
エンデバー号は分離、プログレス補給船(31P)が到着
お別れの前にエンデバー号のミッドデッキで感謝祭の食事を楽しむISSクルーとSTS-126クルー(飛行14日目)(提供:NASA)
第18次長期滞在クルーのISS滞在は、マイケル・フィンク、ユーリ・ロンチャコフ両宇宙飛行士は49日、サンドラ・マグナス宇宙飛行士は16日が経過しました。
ISSクルーは、11月28日にSTS-126クルー7名をISSから送り出した後、ISSとエンデバー号との間のハッチを閉じ、3名での運用体制に戻りました。
プログレス補給船(31P)は11月26日午後9時38分にロシアのソユーズロケットにより、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、11月30日午後9時28分にISSへドッキングしました。また、11月15日にISSから分離したプログレス補給船(30P)は、米国時間12月7日に大気圏に再突入する予定です。
なお、31Pには、若田宇宙飛行士およびその他の第18次長期滞在クルー用の宇宙日本食(28品目のうち20品目)と、2009年4月以降に「きぼう」での実施が予定されている、結晶が平らな面状に成長(ファセット成長)する様子を調べる実験に使用される供試体が搭載され、ISSへ運ばれました。