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MAXI稼働開始から2周年、世界初の天体現象を観測するなど着実な成果
軌道上のMAXI(出典:JAXA/NASA)
8月3日、全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)は、軌道上での稼働開始から2周年を迎えました。MAXIは、2009年7月に「きぼう」日本実験棟船外実験プラットフォームに取り付けられ、同年8月以降、全天の天体から放射されるX線の常時観測を行い、X線新星の発見や最新の全天X線画像の作成など着実な成果を挙げてきました。
それらの成果のひとつとして、この度、MAXIと米国のガンマ線バースト観測衛星(Swift: スウィフト)との連携により、世界で初めて地球から39億光年離れた銀河の中心にある巨大ブラックホールに星が吸い込まれる瞬間を観測し、成果論文が8月25日発行の英科学誌「ネイチャー」(オンライン版)に掲載されました。
常時観測により突発現象を捉えたり、その現象が生じる前の状況を正確に把握することが可能なMAXIの特徴を活かし、今後も新たな現象の発見が期待されます。
古川宇宙飛行士はTwitterにて、「巨大ブラックホールに星が吸い込まれる瞬間を「きぼう」のMAXIとNASAのSwift衛星が世界初発見! ネイチャー電子版にも掲載。MAXI、スゴイぞ!」とツイートしています。
MAXIの捉えたX線画像(左が天体出現前、右が天体出現後)(出典:JAXA)
古川宇宙飛行士は米国の人型ロボットの設置や医学実験のサンプル採取を実施
R2の設置を行う古川、フォッサム両宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在中の古川宇宙飛行士は、米国の人型ロボット「ロボノート2」(Robonaut 2: R2)の設置、JAXAや米国の宇宙実験に関わる作業、ISS船内の物資の整理などを行い1週間を過ごしました。
8月22日、古川宇宙飛行士はマイケル・フォッサム宇宙飛行士とともにR2を「デスティニー」(米国実験棟)内の所定の場所に設置し、電源を入れてデータの接続状況を確認しました。R2に電源が投入されたのは今回が初めてとなります。
8月24日、古川宇宙飛行士はJAXAの医学実験「長期宇宙滞在宇宙飛行士の毛髪分析による医学生物学的影響に関する研究」(Hair)の一環として、ロナルド・ギャレン宇宙飛行士とともに互いの髪の毛をサンプルとして採取し、冷凍・冷蔵庫(Minus Eighty degree Celsius Laboratory Freezer for ISS: MELFI)内に保管しました。
ISS船内の物資を整理する古川宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
また、ISS船内の物資の整理として、プログレス補給船(42P)の搭載品の移動作業、「ハーモニー」(第2結合部)内の物資を与圧結合アダプタ2(Pressurized Mating Adapter 2: PMA-2)に移動する作業などを行いました。
そのほか、ISS船内の定常的なメンテナンス作業や身体維持のための日々の運動、米国の広報イベントへの参加などを実施しました。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1181日経過しました
MSPRの動作確認などを実施、船外実験装置の観測運用を継続
「きぼう」日本実験棟では、8月25日と29日に多目的実験ラック(Multi-purpose Small Payload Rack: MSPR)の初期動作確認を実施しました。MSPRは、ユーザーが持ち込む小型・汎用的な実験装置に実験用の電力、通信などのリソースを提供する設備です。MSPRの初期動作確認は9月1日にも行う予定です。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4666日経過しました
第28次長期滞在クルー
アンドレイ・ボリシェンコ(コマンダー、ロシア)、アレクサンダー・サマクチャイエフ(ロシア)、ロナルド・ギャレン(NASA)宇宙飛行士のISS滞在は146日、マイケル・フォッサム(NASA)、古川聡(JAXA)、セルゲイ・ヴォルコフ(ロシア)宇宙飛行士のISS滞在は81日経過しました。
43PがISSから分離、44Pはソユーズロケットの異常により軌道に到達せず
プログレス補給船(43P)は、8月23日午後6時37分にISSから分離しました。43Pは、軌道上でロシアの技術試験を行った後、9月1日に大気圏に再突入して安全に投棄される予定です。
プログレス補給船(44P)は、8月24日午後10時00分にロシアのソユーズロケットにより、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられましたが、軌道に到達しませんでした。
NASAおよびロシアの発表によれば、打上げから5分20秒を過ぎた頃にソユーズロケットの3段に異常が発生し、打上げから5分50秒後に通信が途絶え、軌道速度に到達しないまま44Pを搭載した3段は地上に落下しました。
ロシアは事故調査委員会を発足し、原因究明を行うとともに今後のロシアの打上げ計画について検討しています。また、NASAをはじめとする国際パートナー各極は、今後のISS計画やISS長期滞在クルーへの影響について検討しています。
なお、ISSにはSTS-135ミッションで充分な補給品が運ばれているため、44Pの喪失により、当面、古川宇宙飛行士ら第28次長期滞在クルーの生活と「きぼう」日本実験棟の運用および利用に影響が生じることはありません。