スペースシャトル・ディスカバリー号(STS-119)の準備状況
若田宇宙飛行士らSTS-119クルーがTCDT参加のためKSCに到着
KSCに到着したSTS-119クルー(最右が若田宇宙飛行士)(提供:NASA)
NASAケネディ宇宙センター(KSC)では、若田宇宙飛行士の搭乗するスペースシャトル・ディスカバリー号(STS-119ミッション)の打上げに向けた準備が進められています。
米国時間1月14日、ディスカバリー号が射点へと移動し、ペイロードベイ(貨物室)へのS6トラスの搭載など、打上げに向けた最終準備が行われています。若田宇宙飛行士らSTS-119クルーは同1月19日にKSCに到着し、ターミナル・カウントダウン・デモンストレーション・テスト(Terminal Countdown Demonstration Test: TCDT)を開始しました。TCDTは同1月19日から21日にかけて実施され、射点からの緊急避難訓練や、カウントダウン作業を模擬した訓練などが行われます。
若田宇宙飛行士やSTS-119ミッションの最新情報は以下のページをご覧ください。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から229日経過しました
氷結晶成長実験は順調に進行中、2月上旬には細胞培養実験が行われる予定
細胞培養実験に使用される培養バッグおよびサンプルの地上での準備の様子
「きぼう」日本実験棟では、「氷結晶成長におけるパターン形成」(代表研究者:北海道大学低温科学研究所 古川義純教授)の実験が順調に行われています。
この実験は、対流のない微小重力ならではの環境を使って氷の結晶を成長させ、その様子を観察することで、氷の結晶成長過程に対する理解を深めるとともに、金属など他の多くの物質の結晶成長の仕組みを理解することにもつながり、より高品質な結晶成長の手法の確立などに役立つことが期待されます。
2月上旬には、宇宙放射線が細胞に与える影響を調べるふたつの実験が行われる予定です。ひとつは「哺乳動物培養細胞における宇宙環境曝露後のp53調節遺伝子群の遺伝子発現」(代表研究者:奈良県立医科大学 大西武雄教授)で、宇宙放射線の影響に対して、細胞内の遺伝子がどのようにはたらくかを調べることを目的としています。
もうひとつは「ヒト培養細胞におけるTK変異体のLOHパターン変化の検出」(代表研究者:理化学研究所 谷田貝文夫特別嘱託)で、宇宙放射線により遺伝子に損傷を受けた細胞を見つけだし、その影響を調べることを目的としています。
ふたつの実験では共に、凍結状態で打ち上げたヒトのリンパ球の細胞を、細胞実験ラックを用いて宇宙で培養し、培養した細胞を再び凍結状態にして地上に持ち帰り、実験結果の解析を行います。ヒトの細胞の宇宙放射線に対する反応の仕組みを明らかにし、地上での放射線防護や、放射線による細胞のがん化などの予防につなげていく上で、重要なデータが得られることが期待されます。
実験の詳細や今後の予定については以下のページをご覧ください。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから3714日経過しました
ディスカバリー号と32Pのドッキングに備えてISSのリブーストを実施
CIRの外観(提供:NASA)
第18次長期滞在クルーのISS滞在は、マイケル・フィンク、ユーリ・ロンチャコフ両宇宙飛行士は98日、サンドラ・マグナス宇宙飛行士は65日が経過しました。
クルーは、STS-119ミッションに向けた物品の整理や、燃焼実験ラック(Combustion Integrated Rack: CIR)の起動および初期機能確認を行いました。CIRは、火気を使用した実験が制限されていたISSで唯一の燃焼専用の実験装置で、可燃性ガスの物理解析などの実験が行われる予定です。
米国時間1月14日には、スペースシャトル・ディスカバリー号(STS-119)およびプログレス補給船(32P)のドッキングに備えて、「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)のスラスタを使用したISSのリブースト(軌道上昇)が行われました。