ISS・きぼうウィークリーニュース第426号
2011年4月 5日
トピックス
「こうのとり」2号機は3月30日に大気圏に再突入し、ミッションを終了
ISSから離脱する「こうのとり」2号機(出典:JAXA/NASA)
ミッション終了後、HTV運用管制室にて関係者の記念撮影(出典:JAXA)
宇宙ステーション補給機「こうのとり」2号機(HTV2)は、3月30日午後0時09分頃に大気圏に再突入し、約67日間にわたるミッションを終了しました。
震災からの復興への願いがこめられた折鶴と国際宇宙ステーション(ISS)内の不要品を搭載した「こうのとり」2号機は、3月28日から29日にかけて、ISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)によりISSから取り外され、SSRMSから放出された後、ISSの軌道から離脱するための運用を行い、ISS近傍から離れました。
その後、「こうのとり」2号機は3月30日早朝から合計3回の軌道離脱マヌーバを行って減速するとともに徐々に高度を下げていき、ニュージーランド東の海上上空において高度120kmに達し、大気圏に再突入するとともに今回のミッションを終了しました。
「こうのとり」2号機の機体のほとんどは大気からの空力加熱で融解しましたが、溶け残った一部は同日午後0時21分頃から0時41分頃の間に南太平洋上に落下したと推定されています。
インフォメーション
東日本大震災の影響によるイベントの延期・中止のお知らせ
3月11日に発生した東日本大震災の影響により、JAXAは、4月7日と8日の2日間にわたり開催を予定していた第30回宇宙ステーション利用計画ワークショップを延期することを決定しました。なお、次の開催日時は未定です。
また、4月16日に開催を予定していた平成23年度「科学技術週間」筑波宇宙センター特別公開は、開催内容を大幅に縮小せざるを得ないことや、交通事情なども考慮の上、中止することを決定しました。皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、どうかご理解のほどよろしくお願いいたします。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1034日経過しました
ナノスケルトン実験の第2回目を開始、船外実験装置の運用を継続
「きぼう」日本実験棟では、3月29日から、細胞実験ラックの細胞培養装置(Cell Biology Experiment Facility: CBEF)を使用して、「微小重力環境でのナノスケルトン作製」(ナノスケルトン実験)の第2回目を開始しました。
ナノスケルトンとは、光触媒開発などに用いられる多孔質材料の機能向上を狙った新しい材料カテゴリの名称です。
ナノスケルトン実験では、微小重力下における対流や浮上・沈降のない静かな環境を利用して、地上で作製するよりも大口径のチューブ状の細孔(素材中に多数存在する筒状の穴の部分で、この口径が触媒としての性能を左右する)を有するナノスケルトンを作製します。
微小重力環境で作製された高い特性を有することが期待されるナノスケルトンと、地上で重力の影響を受けた状態で作製されたナノスケルトンとを比較し、作製プロセスに重力が与える影響を精緻に調べることで、地上で実現し得る最高特性のナノスケルトンの製造条件を把握・提案することを目指しています。
今回の実験は、3月29日から4月1日にかけてと、4月5日から8日にかけての2期間に分けて実施します。実験を終了したサンプルは、4月下旬に打上げが予定されているスペースシャトル・エンデバー号(STS-134ミッション)で地上に回収される予定です。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4519日経過しました
第27次長期滞在クルー
ドミトリー・コンドラティェフ(コマンダー、ロシア)、キャスリン・コールマン(NASA)、パオロ・ネスポリ(ESA)宇宙飛行士のISS滞在は108日経過しました。アンドレイ・ボリシェンコ(ロシア)、アレクサンダー・サマクチャイエフ(ロシア)、ロナルド・ギャレン(NASA)宇宙飛行士は4月7日からISS滞在を開始する予定です。
26Sの打上げ成功、新たなクルー3名は4月7日にISSへ到着予定
ガガーリン宇宙飛行士のロゴが描かれた26Sとボリシェンコ宇宙飛行士ら26Sクルー(出典:JAXA/NASA/Victor Zelentsov)
26Sの打上げ(出典:JAXA/NASA)
第27次長期滞在クルーとなったコンドラティェフ宇宙飛行士ら3名は、ソユーズ宇宙船(26S)の到着に向けた準備などに忙しい日々を過ごしました。
新たに第27次長期滞在クルーに加わるボリシェンコ宇宙飛行士ら3名を乗せた26Sは、4月5日午前7時18分にロシアのソユーズロケットにより、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。26Sは、打上げから2日後の4月7日午前8時18分にISSへドッキングする予定です。
今回打ち上げられた26Sは、1961年4月12日に人類で初めて地球周回軌道を飛行したロシア(旧ソ連)のユーリ・ガガーリン宇宙飛行士にちなんで「ガガーリン」と呼ばれています。26Sの打上げからちょうど1週間目が、ガガーリン宇宙飛行士の宇宙飛行から50周年の記念日となるため、この愛称で呼ばれるようになりました。26Sの機体やロケットのフェアリングには記念のロゴが描かれています。