今週の国際宇宙ステーション(ISS)と古川宇宙飛行士
最初のISS構成要素打上げから4722日経過しました
第29次長期滞在クルー
マイケル・フォッサム(コマンダー、NASA)、古川聡(JAXA)、セルゲイ・ヴォルコフ(ロシア)宇宙飛行士のISS滞在は137日経過しました。
古川宇宙飛行士はGHFの初期動作確認や45Pの到着に向けた準備などを実施
フォッサム宇宙飛行士に散髪してもらう古川宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在中の第29次長期滞在クルーは、3名体制でのISS運用に忙しい日々を過ごしました。古川宇宙飛行士は、勾配炉実験ラックの温度勾配炉(GHF)の初期動作確認など「きぼう」日本実験棟に関する作業や、新たなプログレス補給船(45P)の到着に備えたロシアの手動ドッキングシステムの確認などを行いました。
10月19日、「ズヴェズダ」(ロシアのサービスモジュール)のエンジンを使用したISSのリブースト(軌道上昇)が行われ、ISSの平均軌道高度は3.24km上昇して約388kmとなりました。ISSのリブーストは10月26日にも実施され、今後予定されている45Pとソユーズ宇宙船(28S)のドッキングに適した軌道高度に調整されます。
プログレス補給船(42P)は、10月29日午後6時01分にISSから分離する予定です。その後、45Pがカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から10月30日午後7時11分に打ち上げられ、打上げから3日後の11月2日にISSへドッキングします。
【Pick Up】古川宇宙飛行士、ISS長期滞在中最後の交信イベント(10月26日(水) ) & 「ASIAGRAPH 2011匠賞」受賞!
宇宙で抹茶を点てる古川宇宙飛行士(出典:河口洋一郎/JAXA(実施))
ISS長期滞在も残すところ1ヶ月をきった古川宇宙飛行士による最後の交信イベントが、軌道上の古川宇宙飛行士と、佐賀県立宇宙科学館および群馬県高山村いぶき会館とを結んで行われます。
古川宇宙飛行士とそれぞれの会場に集まった子供たちが交信します。この交信の模様は、10月26日(水)午後9時10分から、NASA TVでライブ中継される予定ですので、ぜひご覧ください。
また、古川宇宙飛行士に「ASIAGRAPH(アジアグラフ) 2011匠賞」が贈られ、10月20日、日本科学未来館で授賞式が開催されました。授賞式ではJAXA関係者が代理で表彰状を受け取るとともに、古川宇宙飛行士から届いた受賞への感謝を述べるメッセージビデオが放映されました。
「ASIAGRAPH 2011匠賞」は、アジアの技術・デジタルコンテンツに貢献した、特に優れた研究者・専門家等1名に贈られるもので、古川宇宙飛行士が軌道上で実施した文化・人文社会科学利用(Education Payload Observation: EPO)パイロットミッション「宇宙で抹茶を点てる」など、日本の文化と技術の融合した活動が評価されました。
トピックス
海底からこんにちは! 大西宇宙飛行士が参加するNEEMO15訓練開始
NEEMO15訓練にて、船外活動を行う大西宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA/NOAA/UNCW)
10月20日、第15回NASA極限環境ミッション運用(NASA Extreme Environment Mission Operations: NEEMO 15)訓練が開始されました。大西宇宙飛行士らは拠点となる海中研究施設「アクエリアス」に移動し、11月1日まで約13日間にわたる滞在を開始しました。
滞在1日目は、アクエリアス内部の確認や荷物の整理など生活環境を整える作業と、滞在2日目の船外活動に備えたダイビング訓練を行いました。滞在2日目以降は、船外活動など予定されている訓練内容を順調に実施しています。
NEEMO15訓練特設ページでは、「大西宇宙飛行士のNEEMO日記」を掲載していますので、ぜひご覧ください。
JAXA白木技術参与、「第35回Alan D. Emil記念賞」受賞!
第35回Alan D. Emil記念賞を受賞したJAXA白木技術参与(出典:JAXA)
JAXA白木技術参与が、国際宇宙ステーション(ISS)の成功と輸送システム技術への貢献が認められ、「第35回Alan D. Emil記念賞」を受賞しました。
この賞は、国際宇宙航行連盟(IAF)より、宇宙に関する分野で顕著な功績を残した人物で、宇宙科学の更なる国際協力の可能性を促進させた者に贈られる賞です。
表彰状の贈呈式に参加した白木技術参与からは、「今回の受賞は、私だけのものではなく、ISSの完成に貢献した各参加国の努力の賜物である」とのISS計画への各参加国を讃える挨拶がありました。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1237日経過しました
マランゴニ対流実験、GHFの初期動作確認などを引き続き実施
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、流体実験ラックの流体物理実験装置(Fluid Physics Experiment Facility: FPEF)にて、「マランゴニ対流におけるカオス・乱流とその遷移過程」の第4シリーズを継続的に行っています。この実験は、2011年12月頃まで実施する計画です。
そのほか、勾配炉実験ラックの温度勾配炉(GHF)の初期動作確認を引き続き行っています。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。