ISS・きぼうウィークリーニュース第447号
2011年9月 6日
トピックス
日々の仕事に奮闘する古川宇宙飛行士のISSでの生活について紹介
ISS船内の物資の整理を行う古川宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
MARESの軌道上メンテナンスを行う古川宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
自転車エルゴメータでトレーニングする古川宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在中の古川宇宙飛行士は、「きぼう」日本実験棟の多目的実験ラック(Multi-purpose Small Payload Rack: MSPR)の初期動作確認やISS船内の物資の整理のほか、「コロンバス」(欧州実験棟)に設置されている米国の筋萎縮抵抗研究・運動システム(Muscle Atrophy Research and Exercise System: MARES)の軌道上メンテナンスに多くの時間を費やしました。
ISS長期滞在開始からまもなく3ヶ月、JAXAおよび国際パートナー各国の宇宙実験や、生活の場でもあるISSのメンテナンス作業など日々の仕事に奮闘する古川宇宙飛行士について、今回はISSでの標準的な1日をご紹介します。
ISSでは世界標準時(日本時間-9時間)が採用されており、これに基づいて古川宇宙飛行士らISS長期滞在クルーは生活しています。
1日の仕事の時間は基本的に8時間です。内容は主にISS船内および船外の機器や装置のメンテナンスや故障修理、科学・物理・医学などいろいろな宇宙実験で、地上の専門家と交信しながら注意深くそれぞれの作業を実施します。
食事のメニューは長期保存が可能な宇宙食ですが、プログレス補給船などの到着後には、野菜や果物などの生鮮食品も加わります。また、ISSの微小重力環境では人体の筋力が衰えるため、毎日運動を行うことが義務づけられています。
休日は週に2日(土日)で、さらに各国の祝祭日が設定されています。なお、休日でもISS船内の清掃や環境管理など、生活の上で必要な作業は行います。
ISS長期滞在クルーの1日の生活リズム例
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1188日経過しました
MSPRの初期動作確認を継続、MAXIサイエンスニュース35号を掲載
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、多目的実験ラック(Multi-purpose Small Payload Rack: MSPR)の初期動作確認を引き続き行っています。MSPRは、ユーザーが持ち込む小型・汎用的な実験装置に実験用の電力、通信などのリソースを提供する設備です。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。
ホームページでは、MAXIサイエンスニュースを随時掲載しています。最新号の35号では、いて座に出現したX線新星の発見について掲載しています。そのほか、変光星アルゴルからの巨大フレアやくじら座で発見したガンマ線バーストの観測など、毎号大変興味深い話題を掲載していますので、ぜひご覧下さい。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4673日経過しました
第28次長期滞在クルー
アンドレイ・ボリシェンコ(コマンダー、ロシア)、アレクサンダー・サマクチャイエフ(ロシア)、ロナルド・ギャレン(NASA)宇宙飛行士のISS滞在は153日、マイケル・フォッサム(NASA)、古川聡(JAXA)、セルゲイ・ヴォルコフ(ロシア)宇宙飛行士のISS滞在は88日経過しました。
ロシアはソユーズロケットの飛行再開に向けた調査と検討を継続
8月25日に発生したソユーズロケットの異常によるプログレス補給船(44P)の打上げ失敗について、ロシアは引き続き事故原因の調査とソユーズロケットの飛行再開に向けた検討を行っています。
NASAおよびロシアの発表によれば、ソユーズロケットの3段のエンジンで発生した、推進剤を供給するためのターボポンプを駆動するガスジェネレータの異常が原因と推定されています。
NASAをはじめとする国際パートナー各国は、今後のISS計画やISS長期滞在クルーの交代計画について引き続き検討を行っています。
第27次/第28次長期滞在クルーのボリシェンコ宇宙飛行士ら3名は、ソユーズ宇宙船(26S)に搭乗し、9月16日に地上へ帰還する予定です。第28次/第29次長期滞在クルーの古川宇宙飛行士らは、新たな長期滞在クルー3名が到着するまでの間、3名でISSを運用します。
インフォメーション
よくわかる「きぼう」利用成果ミニシンポジウム開催、参加者募集
JAXAは、「よくわかる『きぼう』利用成果ミニシンポジウム~宇宙放射線と生命の関わりを知ろう~」を、9月28日(水)午後6時から東京都千代田区の學士會館にて開催します。
本シンポジウムでは、「きぼう」で実施している宇宙放射線が生命に与える影響の研究とその成果を分かりやすく解説するとともに、これから放射線と向き合って生きていく私達が暮らす社会と今後進めるべき宇宙放射線研究の関連について議論します。詳細はホームページをご覧ください。多くの皆様のご参加をお待ちしています。