ISS・きぼうウィークリーニュース第431号
2011年5月17日
トピックス
古川宇宙飛行士ら27Sクルーは打ち上げに向けた最終試験に合格
記者会見後の27Sクルー((左から)フォッサム、ヴォルコフ、古川宇宙飛行士)(出典:JAXA/GCTC)
5月14日、古川宇宙飛行士は、ソユーズ宇宙船(27S)の打ち上げに向けてロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)で行われていた宇宙飛行士訓練の最終試験に、マイケル・フォッサム、セルゲイ・ヴォルコフ両宇宙飛行士とともに優秀な成績で合格しました。
5月16日、GCTCで行われた27Sクルーの記者会見で、古川宇宙飛行士は「すばらしい仲間と一緒に宇宙でいい仕事をしたい」と国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在に向けた抱負を語りました。また、東日本大震災の被災地に向けて「1日も早い復興を願っています」と励ましのメッセージを送りました。
今後、古川宇宙飛行士ら27Sクルーは打ち上げが行われるカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地に移動し、打ち上げに向けた最終準備に入ります。
古川宇宙飛行士がISS長期滞在中に行う「宇宙医学にチャレンジ!」および「宇宙ふしぎ実験」について、皆様からご応募頂いたアイデアの中から、実施テーマを各10件ずつ選定しました。古川宇宙飛行士はTwitterで「興味深いテーマばかりで、実施が楽しみです」と語っています。
また、古川宇宙飛行士との交信イベント参加団体の募集を開始しました。イベントでは、ISS長期滞在による医学的な知見が高齢者の健康増進や寝たきりの防止に役立つことを、医師である古川宇宙飛行士との対話などを通じて紹介します。皆様のご応募をお待ちしています。
インフォメーション
平成23年度第1回宇宙医学生物学研究ワークショップ参加者募集締め切り迫る
国際宇宙ステーション(ISS)と「きぼう」日本実験棟を利用した宇宙医学生物学研究で得られた研究成果を社会に還元することを目的としてワークショップを開催します。平成23年度第1回目のワークショップは「免疫低下からあなたを救うには? ~宇宙飛行士から高齢者まで~」をテーマに、5月24日に開催します。
参加は無料ですが事前申し込みが必要です。締め切りは5月20日です。申し込み方法などはホームページをご覧ください。皆様のご参加をお待ちしています。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1076日経過しました
芸術利用テーマ「オーロラオーバル Spiral Top」を実施
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、5月12日、文化・人文社会科学利用パイロットミッションの第2期テーマのひとつである「オーロラオーバル Spiral Top」(代表提案者:逢坂卓郎筑波大学教授)が実施されました。
「オーロラオーバル Spiral Top」は、LEDによる点光源と線光源をアームにもつコマを無重力環境で回転や並進運動をさせることにより、点と線によるオーロラのような光跡を発生させるライトアートです。「きぼう」運用管制室で実施状況を見守った逢坂教授は、「おかげさまで想像した成果が現れたようで、ビデオを見るのが楽しみです」と語りました。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。
STS-134ミッションの状況
エンデバー号の打ち上げ成功、STS-134ミッション開始
エンデバー号の打ち上げ(出典:JAXA/NASA)
スペースシャトル・エンデバー号(STS-134ミッション)は、5月16日午後9時56分にNASAケネディ宇宙センター(KSC)から打ち上げられました。
エンデバー号は5月18日午後7時15分に国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングし、ペイロードベイ(貨物室)に搭載された宇宙の暗黒物質(ダークマター)などを探索するために宇宙空間を観測するアルファ磁気スペクトロメータ(Alpha Magnetic Spectrometer: AMS-02)と、曝露機器の予備品などを搭載したエクスプレス補給キャリア3(Express Logistics Carrier 3: ELC-3)をISSに設置する作業などが開始される予定です。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4561日経過しました
第27次長期滞在クルー
ドミトリー・コンドラティェフ(コマンダー、ロシア)、キャスリン・コールマン(NASA)、パオロ・ネスポリ(ESA)宇宙飛行士のISS滞在は150日、アンドレイ・ボリシェンコ(ロシア)、アレクサンダー・サマクチャイエフ(ロシア)、ロナルド・ギャレン(NASA)宇宙飛行士のISS滞在は41日経過しました。
クルーはエンデバー号の到着に向けた準備などに忙しい日々を過ごす
第27次長期滞在クルーは、スペースシャトル・エンデバー号(STS-134ミッション)の到着やソユーズ宇宙船(25S)の帰還に向けた準備などに忙しい日々を過ごしました。
コンドラティェフ、コールマン、ネスポリ宇宙飛行士は25Sに搭乗し、5月24日に地上へ帰還する予定です。帰還予定日はエンデバー号がISSにドッキングしている期間にあたり、スペースシャトルのドッキング中にソユーズ宇宙船がISSから分離・地上へ帰還するのはISS史上初めてのことになります。その後、6月10日に古川宇宙飛行士ら新たな長期滞在クルー3名がISSへ到着する予定です。