ISS・きぼうウィークリーニュース第316号
2008年10月28日
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から145日経過しました
「きぼう」での次の実験「氷結晶成長におけるパターン形成」は11月下旬から開始予定
STS-126ミッションでISSに運ばれる氷結晶成長実験用セル
STS-126ミッションでISSに運ばれる培養バッグおよびサンプルの準備の様子
「きぼう」日本実験棟では、「氷結晶成長におけるパターン形成」(代表研究者:北海道大学 古川義純教授)の実験が11月下旬から開始される予定です。この実験では、熱対流の生じない微小重力環境で氷の結晶を成長させ、主に結晶の形の変化を観察します。また、結晶周辺の温度測定も行います。
実験には、流体実験ラックの溶液結晶化観察装置(Solution Crystallization Observation Facility: SCOF)と、SCOFに組み込む実験供試体の氷結晶成長実験用セルを使用します。SCOFは数種類の顕微鏡を備えており、氷結晶成長実験用セル内で氷の結晶ができる過程を詳しく観察できます。氷結晶成長実験用セルは、米国時間11月14日以降に打上げが予定されているSTS-126(ULF2)ミッションで国際宇宙ステーション(ISS)に運ばれ、ミッション終了後にいよいよ実験が開始されます。
また、STS-126ミッションでは、2009年2月以降に実施が予定されている、宇宙放射線が細胞に与える影響を調べる実験で使用する培養バッグおよびサンプルもISSへ運ばれます。培養バッグおよびサンプルは、打上げ直前に米国へ輸送される予定で、現在、輸送に向けた最終確認を行っています。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから3630日経過しました
第17長期滞在クルーと宇宙旅行者のギャリオット氏が無事帰還
帰還したヴォルコフ宇宙飛行士(右)とギャリオット氏(左)(クA輦.P.Korolev RSC Energia)
第18次長期滞在クルーのISS滞在は、マイケル・フィンク、ユーリ・ロンチャコフ両宇宙飛行士は14日、グレゴリー・シャミトフ宇宙飛行士は147日経過しました。
4月からISSに滞在していた第17次長期滞在クルーのセルゲイ・ヴォルコフ、オレッグ・コノネンコ両宇宙飛行士と、宇宙旅行者のリチャード・ギャリオット氏を乗せたソユーズ宇宙船(16S)は、10月24日午後0時37分に、カザフスタン共和国に無事着陸しました。第17次長期滞在クルーのISS滞在期間は約197日でした。
ギャリオット氏は16Sのカプセル(帰還モジュール)から出た後、「最高の体験だった」と感想を語りました。ギャリオット氏はISSに約9日間滞在し、窓からの地球の撮影やISS船内のビデオ撮影、タンパク質結晶化に関する実験などいくつかの宇宙実験、アマチュア無線による地上との交信などを行いました。
スペースシャトル・エンデバー号(STS-126)の準備状況
エンデバー号が39A射点に移動、クルーはTCDT参加のためKSC到着
TCDTに参加するためKSCに到着したSTS-126クルー(提供:NASA)
NASAケネディ宇宙センター(KSC)では、ISS滞在クルーを6名体制とするために必要な機材などを運ぶ、スペースシャトル・エンデバー号(STS-126ミッション)の打上げに向けた準備が進められています。
米国時間10月20日、打上げが延期となったスペースシャトル・アトランティス号(STS-125ミッション)が39A射点からスペースシャトル組立棟(Vehicle Assembly Building: VAB)へ戻され、同10月23日、エンデバー号が39B射点から39A射点へ移動しました。また、同10月26日、STS-126クルーは、ターミナル・カウントダウン・デモンストレーション・テスト(Terminal Countdown Demonstration Test: TCDT)に参加するため、KSCに到着しました。
エンデバー号の打上げ目標日は、同11月14日以降の予定です。
インフォメーション
筑波宇宙センター特別公開開催、多くの来場者でにぎわう
「きぼう」実験運用管制室の公開の様子
10月25日(土)、筑波宇宙センター特別公開が行われ、8,282名の皆様にご来場いただきました。「きぼう」運用管制室や実験運用管制室の公開、宇宙日本食の紹介、米国ヒューストンからの生中継によるSTS-124ミッションに搭乗した星出宇宙飛行士の講演などが行われ、宇宙開発の最前線を体感していただいた一日となりました。
次回の特別公開は、2009年4月18日(土)の開催を予定しています。