今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から593日経過しました
マランゴニ対流実験の準備作業実施、MAXIによる観測データの公開開始

マランゴニ対流実験に使用する供試体の補修作業の準備を行う野口宇宙飛行士(提供:NASA)

MAXIによる観測データの例(全天画像)(©JAXA/RIKEN)

植物の発芽が確認された「宇宙庭」の培地(©松井紫朗/JAXA(実施))
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、「マランゴニ対流における時空間構造」実験の準備作業が行われました。1月13日から15日にかけては、実験で使用する供試体のシリコーンオイルの漏れを補修する作業が野口宇宙飛行士により行われ、補修の結果に問題ないことが確認されました。
マランゴニ対流実験では、船内実験室にある流体実験ラックの流体物理実験装置(Fluid Physics Experiment Facility: FPEF)の内部でシリコーンオイルによる大きな柱(液柱)を作り、液柱にマランゴニ対流を発生させて、液柱の表面の流速や温度の分布、内部の流れの変化を調べます。今回の実験では、対流を観察する方法として、超音波によるドップラー効果を利用した超音波流速分布測定法により、流れを測定します。
マランゴニ対流のメカニズムを明らかにすることで、地上で高品質な半導体用結晶を作る技術への応用や、電子機器を冷却するヒートパイプの高効率化への貢献が期待されます。この実験は、1月下旬から開始される予定です。
「きぼう」船外実験プラットフォームで観測運用を行っている全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測データの公開が開始されました。
今回公開されたデータは、MAXIに搭載されているガススリットカメラにより得られた観測データを処理・較正したもので、全天X線画像および個別の天体についてのX線画像やX線強度などが毎日更新されています。観測データはインターネット上で国内外の研究者や一般の皆様に幅広く提供され、宇宙科学研究の発展への貢献が期待されます。
そのほか、「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(Superconducting Submillimeter-Wave Limb-Emission Sounder: SMILES)の観測運用が順調に進められています。また、12月28日深夜から開始された文化/人文社会科学利用パイロットミッション「宇宙庭」では、1月4日に植物の発芽が確認されました。