ISS・きぼうウィークリーニュース第429号
2011年4月26日
トピックス
古川宇宙飛行士、ニッポンのお医者さんがISS搭乗宇宙飛行士となるまで
ISSと古川宇宙飛行士(出典:JAXA/NASA)
古川宇宙飛行士は、ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)で、ソユーズ宇宙船(27S)の打上げに向けた最終訓練を続けています。
古川宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在開始まで1ヶ月少々となった今回は、古川宇宙飛行士のプロフィールについて取り上げます。
古川宇宙飛行士は、小さい頃は「ウルトラセブン」になりたいと本気で思っていました。これが宇宙への憧れとなり、心の奥にしまわれることになります。
高校生になった時、医師である叔父に影響され、人の命を助ける医師はやりがいのある仕事だと思い、このときから医師になることを目指しました。
やがて社会人となり、医師としての道を歩いていましたが、ISS搭乗宇宙飛行士募集の案内をテレビで見て、医師としての経験を活かしながら有人宇宙開発に貢献したいと考え、挑戦することを決意しました。そして1999年2月、見事に宇宙飛行士候補者として選定されました。その後、厳しい訓練を経て、2001年1月に宇宙飛行士として認定されました。
古川宇宙飛行士は、ISS長期滞在において、医師の観点から、自分の体がどのように環境に適応していくか観察することを楽しみにしています。
STS-134ミッションの準備状況
エンデバー号の打上げ日時は4月30日午前4時47分に正式決定
STS-134クルー(出典:JAXA/NASA)
米国時間4月19日に開催された飛行準備審査会(Flight Readiness Review: FRR)にて、スペースシャトル・エンデバー号(STS-134ミッション)の打上げを4月30日午前4時47分に実施することが正式に決定されました。
STS-134ミッションでは、宇宙の暗黒物質(ダークマター)などを探索するために宇宙空間を観測するアルファ磁気スペクトロメータ(Alpha Magnetic Spectrometer: AMS-02)と、曝露機器の予備品などを搭載したエクスプレス補給キャリア3(Express Logistics Carrier 3: ELC-3)を運搬します。
今週のきぼう
「きぼう」船内実験室運用開始から1055日経過しました
生命科学実験「CsPINs」を開始、GHFの動作確認作業などを継続
「きぼう」日本実験棟船内実験室では、細胞実験ラックの細胞培養装置(Cell Biology Experiment Facility: CBEF)を使用して、4月26日から生命科学実験「植物の重力依存的成長制御を担うオーキシン排出キャリア動態の解析」(CsPINs)を開始しました。
この実験は4月26日から27日と4月29日から30日の2期間に分けて行われ、実験結果の試料サンプルは、スペースシャトル・エンデバー号(STS-134ミッション)で地上に回収される予定です。
CsPINs実験では、キュウリの芽生えを用いて、植物の根の伸び方を制御する植物ホルモン「オーキシン」の動きと分布に関わる2種類のPINタンパク質(CsPIN1とCsPIN5)の働きについて調べます。オーキシンを制御する仕組みを解明することで、植物の形態形成をコントロールする技術の獲得につながり、植物栽培技術への貢献などが期待されます。
勾配炉実験ラックでは、温度勾配炉(Gradient Heating Furnace: GHF)の動作確認作業を引き続き行っています。GHFの動作確認完了後には、GHFを使用した初めての実験となる「微小重力下におけるTLZ法による均一組成SiGe結晶育成の研究」(Hicari)を実施する予定です。
流体実験ラックの流体物理実験装置(Fluid Physics Experiment Facility: FPEF)で実施していた「マランゴニ対流における時空間構造」実験の第2シリーズは4月18日で終了し、4月21日に供試体を取り外す作業が行われました。
「きぼう」船外実験プラットフォームでは、宇宙環境計測ミッション装置(Space Environment Data Acquisition equipment-Attached Payload: SEDA-AP)と全天X線監視装置(Monitor of All-sky X-ray Image: MAXI)の観測運用が続けられています。
今週の国際宇宙ステーション(ISS)
最初のISS構成要素打上げから4540日経過しました
第27次長期滞在クルー
ドミトリー・コンドラティェフ(コマンダー、ロシア)、キャスリン・コールマン(NASA)、パオロ・ネスポリ(ESA)宇宙飛行士のISS滞在は129日、アンドレイ・ボリシェンコ(ロシア)、アレクサンダー・サマクチャイエフ(ロシア)、ロナルド・ギャレン(NASA)宇宙飛行士のISS滞在は20日経過しました。
クルーは42Pとエンデバー号の到着に向けた準備などに忙しい日々を過ごす
射点に到着したソユーズロケット(42P)(出典:FSA)
第27次長期滞在クルーは、プログレス補給船(41P)の分離や、新たなプログレス補給船(42P)とスペースシャトル・エンデバー号(STS-134ミッション)の到着に向けた準備などに忙しい日々を過ごしました。
41Pは4月22日午後8時41分にISSから分離しました。41Pは、軌道上でロシアの技術試験を行った後、4月26日夜に軌道離脱を行い大気圏に再突入し、太平洋上に安全に投棄される予定です。
カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地では、42Pの打上げに向けた準備作業が行われています。42Pは4月27日午後10時05分に打ち上げられ、打上げから2日後の4月29日午後11時29分にISSへドッキングする予定です。
エンデバー号は、打上げから2日後の5月2日にISSへドッキングする予定です。エンデバー号では、古川宇宙飛行士がISS長期滞在中に行う「宇宙ふしぎ実験」の実験用品や、「微小重力環境でのナノスケルトン作製(NANOSKELETON)」の第2回目の実験試料サンプルなど、JAXAが行う「きぼう」日本実験棟やISSでの実験に関わる物品が打上げ/回収されます。