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2017年10月24日
宇宙滞在中に計画されている「アジアン・トライ・ゼロG」(アジアン・トライ・ゼロGについては、以前のブログ記事もご参照ください)について、JAXAの担当者や実験提案者である学生さんたちを含めて2回目の打合せを持ちました。
こういった機会を通して、実験のポイントを理解したり、作業を行う上でのコツを教わることは、宇宙ステーションで宇宙実験を実施する上で、とても大切なことだと考えています。
現実のところは、そこまでして担当者と打合せを持ったり、深い勉強をしなくとも、その場で宇宙飛行士用の手順書を見て作業をすれば、実験そのものは行うことはできます。何か作業をする上での疑問があれば、その場で、地上管制官に質問すれば、すぐに明確な指示をもらうことも可能です。
しかし、国際宇宙ステーションを運用している一番の目的は、宇宙に浮かぶ実験室として、さまざまな科学実験を行い、地球にその成果を持ち帰ることにあります。
自分自身が、パイロットやエンジニア出身ではなく、医学をバックグラウンドとするせいで、余計にそのように感じるのかもしれませんが、ただ手順の通りにミスなく作業を行うだけではなく、より精密に作業することで、より正確なデータや結果が得られるような働きをしたいものだと考えています。
このため、ミッション準備として特別に、日本各地の実験提案者の先生方を訪問して、直接、実験の概要や意義を聞き、軌道上で行う作業についてのポイントについて注意をいただく機会を何回か作ってもらいました。
その研究領域で世界をリードする先生から、個人レクチャーを受けることができ、最新の研究内容を耳にすることができたのは宇宙飛行士としての役得でしたが、先生ご本人はもちろん、研究室に所属する研究者や学生の情熱や、宇宙実験に掛ける想いにじかに触れることができたのは、想像していた以上の収穫だったように思います。
9月に帰国した際には、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドについて研究を行っている分子科学研究所の加藤晃一教授や、ゼブラフィッシュを使って宇宙で筋肉が弱くなるメカニズムについて研究を続ける京都大学の瀬原敦子教授を訪問させていただきました。
宇宙開発の現場と同じように、科学研究の現場も、ハイテクの分析装置と論文上の理論を積み上げる無機質な活動では決してなく、涙あり、笑いあり、困難を「工夫」と「アイデア」で乗り超える、とても人間的な現場だと感じました。
宇宙ステーションでサンプルを交換するというような単純作業でも、研究室のみなさんが入念に準備してくださったサンプルだと思うと、十分な注意をもってミスなく取り扱おうという慎重な気持ちになります。
何より、宇宙飛行士と管制官だけではなく、実際に地上で実験結果を待っている研究者の先生たちを含めた、一つの大きなチームとして頑張るのだ・・・と、気持ちがこもります。
根性論かもしれませんが、こういうモチベーションこそ、良い実験成果を得るために必要なものではないかとも思います。
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