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2017年9月22日
宇宙ステーションで生活をする上で、もっとも重要かつ注意を要するオペレーションは、「トイレの使い方」でしょう。何せ、無重力で勝手が違いますから、便座に腰掛けるのだってコツが必要です。
宇宙ステーションにトイレは2つ。アメリカの区画にあるものと、ロシアの区画にあるものです。NASAは自前のトイレは開発せずに、ロシアのトイレを購入しましたので、基本的には2つのトイレは同じものです。
地上では、体から出た排泄物は水の力で流しますが、無重力環境の宇宙ステーションでは空気の力を使って排泄物を流します。地上でも、宇宙でも、水と空気という違いはあっても、何らかの力(フォース)を利用するという点では、同じ仕組みを使っていると言えます。
いや、重力のない宇宙では、この「空気の力」が働いていることが、地上に比べて、もっと大切です。
宇宙トイレは、「小」はホースで、「大」は便座で、と別々に分けて吸い取ります。トイレに入ったら、ますはスイッチオン。掃除機のようなファンが回り、空気を吸い込み始めます。
「小」はホースについた受け皿から、周囲の空気と一緒に吸い取られた後、遠心分離機により、液体成分と空気とに分けられます。液体成分は、特殊な薬剤と混ぜ合わされ、水再生装置に送られ、空気のほうは、乾燥剤により湿気を除去し、脱臭剤で臭いを取り除いた後にキャビンに放出されます。
「大」のほうは、KTO(ケーテーオー)というロシア製の貯蔵タンクの上に便座が据え付けられたようなシステムを使います。
便座のカバーを開けると、タンクの入り口があいていて、1回分の分量を収める小さなパックが装着されています。パックには小さな穴が開いていますので、トイレのスイッチが入り、ファンが回ると、貯蔵タンクに向かって空気の流れができます。
トイレの床についている足掛かりに足を引っかけ、両手でトイレの壁を押さえて、お尻をぴったりタンクの入り口に合わせて用を足します。空気の流れがあるといっても、重力のように強い力ではありませんから、パックの中にモノが収まり、それが外に出てきてしまわないように、そっと静かに、そして確実に行動しなくてはいけません。
用が済んだら、空気の流れに乗せてパックごと貯蔵タンクの中に収めて、タンクの入り口には、次の人のために、新しいパックを装着します。
タンクの入り口から吸い込まれた空気は、ホースで吸い込まれた空気と同じように、湿気・臭いを除去して、ふたたびキャビンに戻されます。最後にきちんと便座カバーを閉めるまで、トイレのスイッチを切ってはいけません。
・・・とまあ、理論の上では、しっかりと訓練を受けて、準備万端な状態です。あとは実践あるのみ!
しかし、先輩飛行士たちから、さまざまな失敗談を聞くにつれ、緊張感は高まります。果たして、うまくトイレができるのか。
実際にどうだったかは、軌道上からレポートする予定です。
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