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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

宇宙服は、小さな宇宙船

2017年9月15日

白くてカッコいい宇宙服(EMUスーツ)に身を包んで、宇宙ステーションの外で船外活動するのも、いかにも宇宙飛行士っぽい仕事ですね。
このEMUスーツは、内部に酸素タンクやバッテリーが内蔵されていて、宇宙ステーションに頼らずに、独立して宇宙空間で、宇宙飛行士の生命を守る機能を持っています。

船外活動の作業のための訓練も、もちろん面白いのですが、この宇宙服のシステムについて学ぶと、とてもシンプルで効率的な設計になっていて、その素晴らしいアイデアに感心してしまいます。

EMUスーツは、人間の体を真空から守るために気密になっていますが、内部が空気で与圧されると風船のようにパンパンに膨れてしまい、手や足を曲げることができなくなってしまいます。このため、肩や肘、手首といった関節部分は金属製で、与圧しても膨らまず、曲げ伸ばしができるような構造になっています。
胴体と腰の部分は金属性ですが、手足の関節以外の「布地」の部分が、宇宙ステーション外壁の尖った構造物に引っかかったりして破れては大変ですので、気密性の素材の外層は、MLI(Multilayer Insulation)という特殊で丈夫な布地で守られています。

「Insulation」というのは「断熱」という意味で、このMLIという布地は、日が当たっていると極端に熱くなり、日陰に入ると極端に寒くなる宇宙の温度環境から、宇宙飛行士の体温を守ってくれる機能もあります。
体温を守ることに関しては、宇宙飛行士は細い管が張り巡らされた冷却下着を身につけます。宇宙服から供給される冷たい水が、この細い管の中をぐるぐると巡り、熱い(暑い)日中でも快適に作業することができるのです。
逆に、日陰で寒くなった場合には、この冷却下着を通る水の量を減らしたり止めることができますし、手がかじかんでしまわないように、手袋には小さなヒーターも内蔵されています。

宇宙服を着ている宇宙飛行士が呼吸するのは、100%の酸素です。このため、普通の空気を使うより、宇宙服の内部の圧力を低くすることができます。圧力が低ければ、手や足を動かすのも楽です(それでも、圧力のかかった宇宙服を着て動くのは重労働ですが)。
宇宙飛行士は酸素の一部を体に取り込んで、代わりに二酸化炭素を吐き出しますが、宇宙服の内部のガスを循環させて、有害な二酸化炭素を除去し、使った分だけ少しずつ、内蔵タンクから酸素を供給するので、最大で8時間くらい宇宙空間で活動することができます。



 
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