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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

L-1.5ヶ月:「きぼう」最終訓練

2017年11月 9日

打上げを間近に控え、バックアップクルーのエプス飛行士と一緒に、筑波宇宙センターでの最終訓練を受講しました。
日本人宇宙飛行士として、「きぼう」のシステムについては、これまでにも何度も訓練を受けていますので、ミッション前の「総ざらい」です。

これまでにもご紹介してきたように、「きぼう」システムの維持・管理は地上の管制官が主役で、宇宙飛行士の出番はほとんどありません。何か故障中の重要機器があれば、宇宙飛行士の手による交換などの大きな作業が計画されるのですが、現在の「きぼう」システムはすべて健全で、わたしが宇宙に上がって行う大仕事は、「きぼう」の修理という観点では、今のところなさそうです。

ミッション期間中に計画されている定期的メンテナンスに関して説明を受け、作業内容の確認を行いました。
今回は打上げの直前ですので、これまでのような授業形式の講義やモックアップ(実物大の模型)での実習というよりは、より具体的に、約半年の宇宙滞在で計画されている具体的な作業についての打合せのような「最終訓練」です。

NASAから使わせて欲しいという要求が多いロボットアームとエアロックの運用についても、しっかり確認をしました。ロボットアームに関しては、地上管制官の独壇場ですが、エアロックに関わる船内作業については、宇宙飛行士が主担当です。
わたしのミッション期間中にも、小型衛星放出を含め、さまざまな装置や実験機器の出し入れが予定されていますので、基本的なエアロックの運用手順について復習しました。
このエアロックの船内作業については、ミッション期間中に、効率化・自動化のためにバルブ操作装置の設置が計画されていますので、訓練用のトレーナーを使って作業手順の実践的な訓練を受けることができました。

さて、ここまで見てきたような、通常状態のシステム維持・管理に関しては地上管制官が主役となりますが、これが緊急事態となると、宇宙ステーションに滞在中の宇宙飛行士が主体となって対処を行うことになります。

日・米・欧が管理する区画については、緊急手順の標準化が行われていて、アメリカ・モジュールでも、ヨーロッパの「コロンバス」実験施設でも、日本の「きぼう」でも、基本的には同じ手順で緊急対処を行います。
しかし、各国の独自のデザインや微妙な設計の違いにより、一部、注意しないといけないポイントもありますので、この機会に、「きぼう」だけの特殊な手順についてインストラクターと一緒に再確認を行いました。
例えば、宇宙ステーションの外壁に傷がついて空気が漏れ出した場合には、「モジュール間」の空気の流れを遮断するためにバルブが自動的に閉まることになっているのですが、「きぼう船内保管室」と「きぼう船内実験室」の間のバルブは手動でしか閉めることができません。

訓練で学んだことをきちんと覚えていないと、「緊急時には自動でバルブが閉まることになっているから大丈夫!」と考えて手順を飛ばしてしまったり、どこに手動バルブがあるのか分からず慌ててしまうことになります。
緊急事態対処の指揮は宇宙ステーションの船長の責任ですが、こういった「きぼう」独特の仕組みについてはきちんと頭の中に記憶して、適切なタイミングで、船長に対して助言するのが、「きぼう」スペシャリストとしてのわたしの役割なのです。

(出典:JAXA)

痒いところに手が届くように教えてくれると評判の「きぼう」訓練チームのみなさんと。宇宙飛行士候補者訓練から8年にわたり、本当にお世話になりました!



 
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