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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

エマージェンシー発生!

2017年9月12日

宇宙ステーションの運用の主役は、地上にいる管制官たちです。重要機器の故障や不具合があっても、ときには宇宙飛行士が気づく前に、管制官が対処を済ませてしまいます。

でも、宇宙飛行士の生命に関わるような緊急事態となると話は別です。宇宙ステーションの訓練で培った知識と技能を駆使して、宇宙飛行士が主体となって事態の対処に当たります。

宇宙ステーションにおける「緊急事態(Emergency)」は、3つ。「火災」、「緊急減圧(宇宙ステーションの外壁に穴が開いて空気が抜けてしまう)」、そして「アンモニア・リーク」です。3番目のアンモニアは、宇宙ステーションの船外に設置された、放熱を行うための「ラジエーター」で使っている物質です。熱を排出するには大変効率が良いのですが、万一、配管が破損して船内に漏れ出すと有毒で、大変なことになってしまうのです。

宇宙ステーションの船内には、火災検知のための煙センサーが多数設置されています。これらのセンサーが煙に反応すると、アラームが鳴り、宇宙飛行士は直ちに緊急時の対処に入ります。
・・・といっても、センサーが反応した時点で、宇宙ステーションは自動的に空気の流れを遮断してくれます。無重力環境では、人工的に作られた空気の流れがなければ、酸素が供給されなくなるので、火は燃え続けることができません。
宇宙飛行士の役目は、コンピュータ制御システムを使って、火災の原因(おそらくは故障した機器のショート)を特定し、その上流の電流を遮断することです。
なお、宇宙ステーションには、消火器も設置されていますので、空気と電流の遮断だけでは鎮火しない場合には、宇宙飛行士が直接、消火活動に当たることもできます。

「緊急減圧」の場合も、気圧センサーが自動的にアラームを鳴らして、異常を教えてくれます。
宇宙ステーションにはロシア製の極めて精密なアナログ気圧計があり、宇宙飛行士はこの気圧計を片手に、どこで空気漏れが起こっているのかを捜索します。手順は簡単で、宇宙ステーションのハッチを端から順番に一つずつ閉めて行き、空気漏れしている区画のハッチが閉められれば、気圧の降下は止まる・・・というものです。
もし、宇宙ステーションの外壁に空いた穴が小さければ、空気漏れを起こしている区画のハッチを再び開けて、超音波を使った検出器で空気漏れの場所を特定し、穴をふさぎにかかります。
一方、空気漏れのスピードが早すぎて、どの区画で空気漏れが起こっているのかわからなければ、仕方ありません。宇宙ステーション内の空気がなくなる前に、自分の乗ってきたソユーズ宇宙船に飛び乗って、緊急脱出を行います。

「アンモニア・リーク」のときにも、素早い行動が大切です。自分の安全を守るために、酸素マスクを身に着け、直ちに自分の乗っていたソユーズ宇宙船が係留されている区画に集合します。空気中のアンモニア濃度を測定する道具が保管されているので、状況がどのくらい深刻なのか判断することができるのです。
空気の汚染がさほどでもなければ、空気中のアンモニアを除去するフィルターを使って、宇宙ステーション内部の空気を清浄化します。汚染がひどい場合には、ソユーズ宇宙船に乗って緊急脱出を行います。



 
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