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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

自己管理

2018年8月15日

宇宙飛行士の資質として、一番重要なんじゃないかと個人的に思っているのが「自己管理」です。
自分も含めてですが、完璧主義だったり、とにかく努力を重ねて物事を進めようという気質の人が多いですから、ともすれば頑張り過ぎて体調を崩したり、慢性的な疲労で本来の能力が発揮できない状態に陥ったりする可能性があります。
しかし、宇宙飛行の現場では、これは一番あってはならない状況です。集中力がかければ精密な操作が必要な作業が失敗するかもしれませんし、十分な余力がなければ、いざというときの緊急事態に対処することができないかもしれません。これでは、ミッションの成否のみならず、自分や同僚のクルーメンバーの生命を脅かすリスクとなりかねません。

しかし、「自分の限界を知る」というのは難しいもので、例えば他の人から仕事を頼まれたときに、「自分は、もうすでに、たくさんの仕事を抱えていて対応できません」と断ることは、なかなかできるものではありません。
幸いなことに、宇宙飛行士訓練の中には、野外リーダーシップ訓練や、ソユーズ宇宙船の冬季サバイバル訓練など、肉体的に過酷な環境でチームとしてどのように目標を達成するかという経験を重ねる機会があります。
日ごろどんなに鍛えていても、自然環境は過酷で、何もかもが自分の思い通りにいくことは、まずありません。体力的にも精神的にも辛い状況で、どうやって仲間と協力しあって行動するのは、自分の弱さを直視するまたとない機会です。
年齢を重ねて図太くなったところもあるのでしょうが、おかげで、「自分にはできません」とギブアップすることに抵抗が少なくなりました。

もちろん、自分の限界に挑戦してさらに能力を伸ばす機会を、弱気のせいで逃すのは惜しいですから、状況を見極めるのは重要です。
国際宇宙ステーションのミッション中に船外活動を行う機会がありましたが、最後は体力が尽きて、自分から「船外活動を終えて、宇宙ステーションに戻ろう」と提案させてもらいました。「船外活動の最中に、自分からもう無理だと言うなんて前代未聞だ」とびっくりされましたが、それ以上、無理をして作業を続けるとミスや事故の可能性が高くなると判断したためです。
毎日しなければいけない体力トレーニングを、ときどきサボってしまうのは、疲労が残っている状態で無理をするとケガの原因になってしまうという自己管理の考えから・・・であることもありますが、たいていは、「なまけ心」に負けた結果の場合のほうが多いです(残念ですが)。



 
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