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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

宇宙飛行士の役割分担

2017年9月 6日

かつて、スペースシャトルの時代は、「宇宙船の操縦」、「宇宙実験」、「船外活動(EVA)」、「ロボットアームの操作」などと、宇宙飛行士ごとに専門の仕事がありました。

一方、現在、国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士は、元パイロットでも、元科学者でも、元エンジニアでも、宇宙飛行士になる前にやっていた仕事に関わらず、宇宙船の操縦も、宇宙実験も、船外活動も、ロボットアームも、全員が同じようにできないといけません。

このため、宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士は、「船長(コマンダー)」を除くと、全員が単純に「フライトエンジニア」と呼ばれます。
ちなみに、ロシアのソユーズ宇宙船にも「船長」がいて、まぎらわしいのですが、ソユーズの船長が、必ず宇宙ステーションの船長とは限りません。

宇宙ステーションで仕事をする宇宙飛行士は、全員が「フライトエンジニア」、と書きましたが、宇宙ステーションの保守・点検作業に関しては、「スペシャリスト」、「オペレーター」、「ユーザー」という風に、どのくらいの専門知識があるか(深いところまで訓練を受けているか)の区分があり、同じ「フライトエンジニア」の間で役割分担をしています。

例えば、JAXA宇宙飛行士のわたしは、日本実験棟「きぼう」の「スペシャリスト」の資格を持っています。これは、「きぼう」で行われる日々のメンテナンスに加え、何らかの機器の故障が起こった場合に、地上管制官の協力のもと修理を行うことができるという資格です。
一方、NASAのティングル飛行士は、「オペレーター」の資格がありますので、「きぼう」の定期点検のみを行うことができます。またロシア人クルーのシュカプレロフ飛行士は「ユーザー」資格者なので、「きぼう」の中で、例えば地上との交信イベントなどの活動はしますが、メンテナンスや不具合対処にはタッチしません。

同様にして、ティングル飛行士はNASAの区画では「スペシャリスト」として責任を持ち、シュカプレロフ飛行士はロシアの区画の「スペシャリスト」です。
わたしは、NASAの区画では「オペレーター」で、ロシア区画では「ユーザー」として、定められた作業に従事します。

なお、火災などの緊急事態や、けが人・病人が発生した場合などについては、誰でも対応できないといけませんので、全員が等しく、高いレベルの訓練を受けています。



 
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