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2017年10月17日
実験ラック、宇宙実験担当の管制官について紹介してきましたが、今日はユーザー・インテグレーター(UI)という専門官のお話しです。
宇宙実験担当の管制官は、宇宙ステーションに搭載されている実験ラックや実験機器の専門家。スケジュールに沿ってコマンドを送信して機器を操作したり、宇宙飛行士と協調してサンプルの交換や機器の準備を行います。
しかし、科学者や研究者ではないので、個々の宇宙実験について、学問的な背景を詳しく知っている訳ではありません。
一方で、実験を主宰するのは、大学や研究機関の先生です。科学者として専門の領域に関する学術知識はありますが、宇宙ステーションでどのように運用が行われるのか、求めている実験を行うために、どのような準備が必要なのかを細かく知っている訳ではありません。
この両者(=宇宙における運用者と、地上における研究者)を結びつける調整役が、UI(User Integrator)というポジションなのです。
提案者である研究者から実験のデザインを聞き、宇宙ステーションのシステムを活用して、どのように実施するかを検討します。対応する実験ラックに適合するようなサンプル・カセットを準備したり、ときには全く新しい実験機器の開発を行わないといけないこともあります。
実験や研究に関する学術的な知識と、宇宙開発の分野におけるエンジニアリングの専門性とを同時に持たなくてはいけないので、なかなか大変な仕事です。
インテグレーターの仕事は、実験機材の開発だけにとどまらず、宇宙実験を実現するための、ほぼすべての準備にたずさわります。
管制官や宇宙飛行士が作業をするために必要な手順を制定を行い、そのための管制官・宇宙飛行士に対する訓練を準備し、宇宙実験に必要なサンプルや機材を輸送船に搭載して宇宙ステーションに届け、いざ宇宙実験が始まれば実験提案者の研究者とともに管制センターに詰めて、裏方として管制官のサポートを行います。
また、不具合が起きたり、想定通りに実験が進まないときには、チームの中心となって不具合対策に走り回ることになります。
一つの宇宙実験を、計画から始めて成功に導くには、長い準備と大変な調整がありますので、軌道上でのケアレスミスで台無しにすることはできません。
宇宙飛行士の立場としては、慎重の上に、慎重を重ね、絶対に失敗しないように、地上の管制官と協力して作業を進めなくてはいけないという大きな責任を感じています。
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