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2017年9月28日
いよいよ水中に入って、それでは作業開始・・・とは、始まりません。
まずはプールの底で、浮力の調整です。水中用宇宙服には、各所に錘(おもり)をしまうポケットが付いており、「中性浮力」といって、水中で浮き上がりもしないし、沈みもしないような、絶妙な調整を行います。この浮力の調整を行ってくれるのが、サポートダイバーです。作業している水深が変わると、それに応じて、ちょこちょこと浮力の調整が必要となります。
いざ作業が始まると、本物の宇宙服にはない、アンビリカル・ホース(呼吸ガスや冷却水を宇宙服内に供給してくれる、生命維持用のホース)が、邪魔にならないように、うまくさばいてくれるのも、このサポートダイバーの役割です。
また、水中であっても作業に使用するツールは金属製で重いので、宇宙飛行士が肩や手首を痛めないようにダイバーが支えて補助をしてくれます。
また、訓練のために宇宙飛行士の状況を水中カメラで撮影してくれるダイバーや、作業現現場に先回りして、訓練のための状況を整えてくれるダイバーなど、訓練を行う2人の宇宙飛行士に対して、10人近くのダイバーが常にサポートのために周囲を泳ぎ回ってくれているというのが、訓練の実際です。
訓練ではいつもサポートダイバーが周りにいてくれるのに対し、実際に宇宙で船外活動をしたときには、自分とパートナー宇宙飛行士だけしかいない・・・というのは、何だか心配でもあります。
船外活動の経験のある先輩宇宙飛行士に聞いたところによると、「水の抵抗や、水中でも重いツールの扱い難さがない分、宇宙では多少作業がしやすく、ダイバーのサポートがないことを差し引くと、だいたい同じくらいの難しさ」なのだそうです。
宇宙ステーションの実物大の模型と、本物と同じ素材の水中用宇宙服のおかげで、いざ実際に宇宙空間に出ても、戸惑うことなく訓練と同じ感覚で作業できるということですので、実践性を追求した訓練であると言えます。
NBLというNASAの船外活動のための訓練施設に勤務するダイバーは、色々なバックグラウンドを持った人たちですが、米海軍の潜水員だった人も多く所属しています。
わたしも、もともと海上自衛隊の潜水に関わる仕事をしていたので、昔の職場の雰囲気を思い出し、懐かしいような、慣れ親しんだ環境で訓練を受けることができます。
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