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2017年12月25日
国際宇宙ステーションから、こんにちは!
12月17日にソユーズ・ロケットで打ち上がってから、2日間をかけて無事に宇宙ステーションに到着し、今は忙しく仕事を始めています。宇宙ステーションでの生活については、おいおいご紹介するとして、今回はソユーズロケットの乗り心地についてご報告したいと思います。
ソユーズ・ロケットの発射台では、JAXAの遠藤副理事長と先輩宇宙飛行士でもある若田プログラム・マネージャーが出迎えてくれました。ロシアのシュカプレロフ船長、NASAのティングル飛行士に対しても、それぞれの組織のトップマネージメントが付き添って、宇宙船に乗り込みます。
燃料と酸化剤を注入されて打ち上げのときを待つロケットは、気化する酸化剤の蒸気につつまれて、まるで生きているかのように感じられます。
いよいよロケットに搭乗するというときに、「がんばってこいよ!」との励ましの声とともに、パチン!パチン!と、副理事長・プロマネのおふたりから結構な力でお尻をひっぱたかれました。出発するクルーをひっぱたいて送り出すのもロシアの伝統なのだそうです。
宇宙船への乗り込みは、数日前のフィットチェックでも体験していますし、専門の担当者が手伝ってくれるので、スムーズです。そして、いったん座席についてしまえば、状況は、星の街で何度も繰り返したシミュレーション訓練と一緒。何の違和感もなく、淡々とシステム確認の手順を進めていきます。
宇宙船の気密を確認するのに操縦室の内部を少しだけ酸素で加圧する手順があるのですが、鼓膜に圧力の変化を感じて、「ああ、これは訓練ではなくて本当の打上げなのだ」と改めて気づかされました。打上げ準備のため、2時間ほど前から宇宙船の座席で待機しなければいけないのですが、作業に集中していると待ち時間が長いとは感じませんでした。
打上げ4分前、これまで静かだったロケットが、ドッドッドッと振動を始めました。いよいよ本番です。「これから宇宙に行くのだ」という事実が急に現実感をもって湧き上がってきて、ほんの少しだけ緊張するのを自覚します。
40秒前、ロケットの唸りが、ゴゴゴゴゴォと高まり出しました。いよいよ打上げです。
10秒前、メインエンジンが点火されました!ゴーというエンジン音が聞こえてきます。
そしてその10秒後、モスクワ時間2017年12月17日10時21分、フワッという感じで宇宙船が浮き上がるのが分かりました。予想外の柔らかな乗り心地です。「パ・イェハリィ〜!(出発だ〜!)」3人のクルーが口々に声を上げました。
打上げ1分を過ぎると、少しずつ加速度を感じてきました。でも、耐えるのが大変なものではありません。加速度計がついているわけではないので正確な数値はわかりませんが、宇宙飛行士訓練で体験した飛行訓練での経験から推し量るに、3Gにいかないくらいではないでしょうか。そんなことを考えていると、ドーンという衝撃とともに、ちょっとだけ体が投げ出されるような感覚。
打上げ約2分、ロケット第一段の切り離しです。この体感は、シミュレータでは味わえません。「イェーィ!!」と、テストパイロットで米海軍の戦闘機乗りだったティングル飛行士は大喜びです。
打上げ約3分、船長が船内カメラを切り替えました。ウェブ放送で右席が映し出されたハズです。皆さんにむけて手を振ったのは見ていただけたでしょうか?
打上げ約5分、再びドンという衝撃。ロケット第二段が切り離されました。打上げシークエンスが正常に進んでいることを示す信号音が鳴り響き、3人で「よっし!」と小さくガッツポーズ。
そして8分45秒メインエンジン停止。ドンという3回目の衝撃でロケット第三段から切り離されました。その瞬間、ぐるっと天地が逆さまになるような感覚。宇宙船の床面に設置された座席で、床に背中をつけるように上を向いて座っていたハズなのに、急に天地が180度反転して、天井に座席がついていてシートベルトで吊り下げられているような感覚になりました。
宇宙に到着です。
船長が、無重力インジケーターの犬のぬいぐるみを軽く突っつくと、フワフワとしています。
「これが無重力か〜」そんな感慨を抱く間もなく、すぐに宇宙船の状態に異常がないかの確認手順に入ります。ロシアのテリトリーを外れるまで残り10分ほど。無線が届かなくなる前に、モスクワの管制センターと協力して行う作業が山とあります。3人のクルーが一斉に手順書のページをめくり出しました。
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