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2017年11月17日
モスクワ近郊の星の街には、宇宙飛行士を訓練するための「ガガーリン宇宙飛行士訓練センター」があります。かつては、星の街そのものが軍事施設で、宇宙飛行士(コスモノート)も訓練センターの教官も全て軍人だったそうです。
今でも、星の街への入構には特別な申請が必要で、身分証明書を常に携帯しないといけませんが、昔に比べるとずいぶんいかめしさもなくなってきているみたいです。
アメリカ(NASA)とロシア(旧ソ連)の宇宙開発における協力関係は、アポロ・ソユーズ・プロジェクト(1975年)から長く続いています。星の街にアメリカ人宇宙飛行士が滞在をして訓練を受けるようになったのが、正確にいつからなのかは分かりませんが、シャトル・ミール計画(1994年〜1998年)で、ロシアの宇宙ステーション「ミール」に滞在を行った大先輩のアメリカ人宇宙飛行士が、苦労をしながら星の街で訓練を受けたという話をうかがったことがあります。
日本人として初めて宇宙飛行を行った秋山豊寛さんや、同じ訓練をした菊池涼子さんも、慣れない土地でずいぶん不便な思いをしながら、大変な訓練を乗り越えたのではないかと想像します。
こういった先人の苦労と経験をもとに、現在では、星の街で長期にわたって訓練を受けるアメリカ人宇宙飛行士のために、NASA長期滞在によって長期滞在型の宿泊施設が整備されており、訓練や勉強に集中する環境が整えられています。われわれ日本人宇宙飛行士も、この宿泊施設を利用させていただいています。
「コテージ」と呼ばれる宿泊施設は、ベッドルームが3つ付いた一軒家が6棟。それぞれの建屋に、共用のトイレやお風呂、台所、洗濯機などが備えられていて、合宿所のような感じです。
いざ宇宙滞在ミッションが始まったら、宇宙飛行士同士で宇宙ステーションに住み込んで共同生活が始まりますので、その準備としてはもってこいの環境と言えるかもしれません。
残念ながら、コックさんはいないので、食事は自炊です。最近は、星の街の敷地内にスーパーマーケットができて、食料品や生活雑貨を簡単に手に入れることができるようになったので助かります。(それ以前は、毎週末、宇宙飛行士が集まって、大きな車で遠くの巨大ショッピングモールに買い出しに行っていました)
いい年をしたおじさん・おばさんの集団ですが、みんなでワイワイがやがやと共同生活を送るというのは、楽しいものです。ときには、「今日は俺が夕食を作るから、みんな19時に集合!」などとと声がかかり、みんなで集まって夕食会をすることもたびたびです。訓練が先に進んでいる人から次に受ける試験の対策を教わったり、宇宙飛行経験のある先輩からミッションのためのアドバイスを受けたり、気の置けない同期に愚痴を聞いてもらったり・・・と、とても有意義なひと時です。
わたしは、あまり料理をしないので、スーパーで買ってきた出来合いのお惣菜や缶詰に飽きたときには、このみんなで集まる夕食会には大変助けられます。
せめて、グループに貢献するために、皿洗いは率先してやろうと決めていますが、これもチームワークの訓練ですね。
ずいぶん前になってしまいましたが、初夏の頃に撮影。2つの建屋が背中合わせになっていて、合計6棟。時には10人以上の宇宙飛行士が合宿生活を送ります。
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