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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

宇宙船を捕まえろ!

2017年9月14日

「こうのとり」をはじめとする各国の物資補給のための宇宙船は、軌道上を高速で飛行する宇宙ステーションに伴走するように、およそ10メートルほどの距離を取って、ピタッと速度を合わせランデブーします。
相対速度が限りなくゼロとなるので、あたかも静止したかのように見える補給船を、ロボットアームを伸ばして捕まえる(われわれは、「キャプチャーする」と言います)のが、宇宙飛行士の腕の見せ所です。

補給船には、「グラップル・ピン」という捕獲ポイントが付いていて、ここにロボットアームの先端部分を被せるようにしておいて、ハンドコントローラーのトリガーを引くと、ロボットアーム先端部に内蔵された3本のワイヤーが閉まり、この「グラップル・ピン」を抑え込みます。
補給船は、ピタッと静止していますし、一見簡単そうに感じられるオペレーションですが、実は、これがなかなか厄介です。

ロボットアームの全長はおよそ17メートル。6つある関節に内蔵されているモーターを駆動して動かすので、先端部分では、かなり大きな振動が生じるのです。安全に「グラップル・ピン」をつかむには、数センチレベルでのコントロールが求められますが、急にハンドコントローラーを動かすと、ロボットアームの先端部分では、簡単に10センチとか20センチのレベルで振動を始めてしまいます。
このため、ハンドコントローラーは、そっと静かに、ロボットアームに振動を起こさないように、徐々に動かさないといけません。ハンドコントローラーはとても反応性が良く(良すぎるのが難点で)、操縦桿を倒す角度がちょっと変わるだけで、すぐにロボットアームの振動が始まってしまいます。

補給船も、一見、ピタッと静止しているように見えますが、よくよく注意して観察すると、秒速何センチというレベルで上下左右に微妙に移動したり、少しずつ角度が変わっていきます。
このような極めて小さい変化でも、ロボットアームが「グラップル・ピン」までの10メートルの距離を詰める時間経過によって、大きなズレになってくるので、宇宙飛行士はロボットアームを近づけながら、上下左右の移動と、ピッチ・ロール・ヨーの角度とを、補給船の微妙な動きに合わせていかないといけないのです。

急な動きをしないように気をつけながら、ゆっくりと、左右の手で、最大で6つの別々の動きを同時にコントロールするというのが、補給宇宙船のキャプチャー。
絶対に失敗できないというプレッシャーと、要求される繊細な操縦技術とが、逆にパイロット飛行士のハートに火をつけるのかもしれません。
・・・わたしですか?
「このキャプチャーに成功したら、補給船に載っている新鮮な果物や宇宙日本食が食べられる!」というモチベーションのほうが、個人的には大切です。



 
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