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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

「きぼう」のシステム:熱制御系サブシステム

2017年11月 6日

宇宙空間は、日が当たっているところは120℃くらいまで暑くなり、逆に陰の部分では−120℃くらいまで温度が下がるような極端な環境です。その中で、「きぼう」などの有人宇宙施設(宇宙船)の内部の環境を、人間が生活できるような安定した室温に保つことは、なかなか大変な仕事です。
宇宙の「寒さ」に関しては、単純にヒーターを使って温めることで対処することができますが、「暑さ」に関しては、宇宙ステーションや「きぼう」にどっさりと詰め込まれた機器が稼働することによって発生する熱もあり、何らかの方法で熱を放出しないと、あっという間にオーバーヒートしてしまいます。

そこで使われるのが、冷却水を流す排熱回路(ループと呼びます)です。「きぼう」の内部には冷却水を流すパイプが張り巡らされており、重要な機器や実験ラックを冷やしてくれているのです。
ちなみに、この「冷却システム」も、「きぼう」の安全な運用に不可欠な重要システムですから、「冗長(じょうちょう)設計」でデザインされています。具体的には、「きぼう」の中には、「中温系ループ」と「低温系ループ」と2つの冷却用の排熱回路があり、それぞれが独立してポンプで冷却水を流して、「きぼう」全体の熱コントロールを行っているのです。
このデザインのおかげで、片方のループに不具合が起こっても、もう1つのループを使うことで、「きぼう」の機能を失わずに済むようになっています。

「きぼう」の内部で稼働している機器や実験装置は、あるものは冷却水が流れているパイプにより冷やされたり、また別のものはファンを回すことで空気の流れを作って、キャビン(室内)に排熱を行っています。
宇宙飛行士が活動を行うキャビンの空気は、やはり冷却水を流すパイプによって冷やされます。あんまり室温が低いと、宇宙飛行士には寒く感じることもありますが、重要なコンピュータがオーバーヒートをしてしまっては元も子もありません。室内温度の調節は、エアコンのリモコンで調整するように宇宙飛行士が勝手に変えられるものではなく、地上の管制官の厳密な管理のもとに行っています。

色々な機器や装置を冷やすための排熱ループの中を流れている冷却水は、そのままでは、だんだん温かくなってしまいますので、これを継続的に冷やし続けるシステムが必要です。
そのために、宇宙ステーションの外に設置されているのが、ラジエーターと船外の排熱回路です。「船内」にある排熱回路は、水を流して熱を排出していますが、温度差の激しい「船外」には、アンモニアを使った、別の排熱回路が独立してあるのです。
ラジエーターの中を通ることで宇宙空間に熱を放射し冷やされたアンモニアは、船内の熱を集めて温まった冷却水を冷やしてくれます。

言葉で説明すると複雑ですが、「船内」の水ループと、「船外」のアンモニア・ループとを使って、さまざまな機器から発生する熱で「きぼう」がオーバーヒートしないようにコントロールしているのが、熱制御系サブシステムなのです。



 
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