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2017年12月17日
いよいよ打上げ当日。
今回の打上げは日中の時間帯なので、変な時間に仮眠を取って夜中に起床するような必要がなく、とってもラクです。いつも通り朝起床して、健康診断と浣腸、その後にシャワーを浴びたら打上げ用の下着を身につけて宿舎を出発します。
この宿舎出発の時には、ホテルのドアにサインをするのが「お約束」です。元々は、ソユーズ船長の宿泊していた部屋のドアにサインをしていたそうなのですが、慣例行事となってからは、「クルーがサインするためのドア」が指定されており、打上げに出発する3人が、これまでの歴代クルーのサインが残されている特別指定のドアに、順番にサインを行うことになっています。
引き続いて、ロシア正教会の神父さまによるお祓い。大きな筆のようなもので、聖水を十文字に顔にかけてもらいます。かなり盛大に水を浴びて、宇宙飛行士が顔をしかめるのも、これまたお約束の風景です。
宿舎を離れるセレモニーを終えて、移動用のバスに乗り込むときには、恒例のロシアの歌謡曲が流されます。演歌にも似た乗りの良い曲で、気分も自然に高揚し、集まった応援の人たちに手を振りながらの出発です。
さて、バスは先日のフィットチェックでもお世話になった、ビルディング254という施設に向かいます。宇宙船はすでに発射台に据え付けられていますが、ここでブルースーツから打上げ用のソコル宇宙服に着替えを行うのです。
ロシアの職人さんが作ってくれた自分だけの一着に身を包めば、打上げ準備は万端。
建屋の前が小さな広場になっていて、打上げ総責任者に向かって出発のあいさつを行うという式典があります。冬の打上げで外気温は寒いですが、「ソコルスーツ用の防寒着」というものがあるので大丈夫(なハズ)です。宇宙服の足の部分を保護するための特別なブーツと、この防寒着は、この5分間のあいさつと、打上げ場でバスからロケットに移動するためだけに準備される、ある意味、稀少なものです。打上げ中継で、このときの式典の姿が放映されるようでしたら、「あぁ、これが、あの防寒着とブーツか!」と見ていただけると、準備してくれたロシアの担当者は本望なのではないかと思います。
ソコル宇宙服を着て次に向かうのは、ロケットの打上げ場・・・なのですが、その前に、途中で一時停止しないといけません。
打上げ場に向かう途中でバスを止め、バスのタイヤに向かって立ち小便をする、というのもユーリ・ガガーリンから続く大切な慣習なのです。
このときに、これまで2号車のバスで移動していたバックアップクルーが1号車に乗り移り、発射台まで付き添ってくれます。プライムクルーが打ち上がったあとは、バックアップクルーが半年後の打上げを待つ身となります。この後から、バックアップクルーは、この1号車を使って移動を行うのが「しきたり」です。
さて、発射台に到着して迎えてくれるのが、燃料や酸化剤の注入されたロケット。気化した酸化剤の蒸気に包まれて、まるで生きているように感じられます。
見送りのマネージャーやバックアップクルーに見守られ、ソユーズ宇宙船に搭乗。いよいよ宇宙に向かって翔び発つのです。
このブログがアップされる頃には、わたしはすでに地球周回軌道に乗って、ソユーズの「居住モジュール」で一休みしている予定です。
大西宇宙飛行士いわく、「お釈迦さまの手で持ち上げられるような感じ」というソユーズ・ロケットの乗り心地がどんなものであったのかは、宇宙ステーションに到着してからご報告したいと思います。
それではみなさん、行って参ります!
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