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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

宇宙についてからの体の変化

2018年1月24日

(出典:JAXA)

宇宙環境に人間の体がどのように適応するのか興味があって宇宙飛行士になったという経緯がありますもので、どんなドラマチックな変化があるのかとワクワクしていたのですが、意外と困ることもなく、宇宙ステーションでの生活に馴染んでしまったので、拍子抜けしたような気もしますし、逆に人間の体の適応力のスゴさにビックリな気もします。

無重力環境に行くと、上下左右の感覚がなくなってしまうせいで、気持ちが悪くなる「宇宙酔い」という症状が数日続くと言われます。わたしは(元海上自衛官としては情けない話ですが)結構、船酔いをするタチなので、宇宙に行く前から心配でした。打ち上がってから3日ほどは酔い止めを定期的に内服していましたが、そのおかげか、まったく気持ち悪くなることもなく、最初から割と元気に過ごすことができました。

ソユーズ宇宙船に乗って、2日間かけて宇宙ステーションに到着するまでに、狭い宇宙船内で無重力の感覚に少しずつ体を慣らすことができたのが良かったのかもしれません。

また、よく言われるのが、「体液シフト」といって、地上では重力によって下半身(特に足)に分布している血液が、無重力環境では全身にくまなく平均的に分布することで、地上にいたときと比べると上半身をめぐる血液が多くなる・・・という現象です。この「体液シフト」のため顔が腫れたようになり、まるで逆立ちをしているかのように頭が重くなったり、鼻づまりのような症状が出ると言われています。

毎日鏡で見る自分の顔なので、変わったかどうか、自分では分かりにくいのですが、自覚的には、顔がむくんだような感じはあまりしません。軌道上での記者会見のビデオを見返したり、写真を撮ってみると、少しふっくらとしたような気もします。おかげで顔のシワも伸びて、見た目が若返ったように見えます。この「体液シフト」のせいで、逆に足のほうは細くなると言われていますが、もともとそんなにたくましい足をしていた訳ではないので、本当に細くなっているのか、今一つはっきりしません。(宇宙に来る前に、足の太さを計っておけば良かったですね!)

幸いなことに、鼻づまりや、逆立ちしたときのような頭に血が上るような感覚もほとんどなく、地上にいたときと変わりがないので助かっています。宇宙に滞在している間、ずっと鼻が詰まっていたら、不便なことこの上ありませんから。

宇宙滞在を初めて数週間くらい経つと、重力から解放されて背骨と背骨の間が広がり、身長が伸びるとも言われています。わたしも宇宙滞在を始めて約1か月くらいのところですが、元々の身長より少し身長が伸びていることが確認できました。この背骨の間が広がる際に、背中や腰に痛みが出る人もいるようですが、わたしはそんな症状もなく、むしろ日ごろ悩まされていた肩こりから解放されて、すこぶる快調です。

宇宙に行くと味覚が変わって、濃い味付けのものや、スパイシーなものが美味しくなる・・・という話もあります。これに関しては、NASAが準備してくれた「標準食」と呼ばれる宇宙食がとても美味しくて、味が薄くて物足りないと感じることはまだありません。毎日の生活が単調で、同じメニューの宇宙食を一定期間で繰り返し食べ続けないといけないことから、味覚の変化というよりは、心理的に味の濃いものや、スパイシーなものを好むようになるのかもしれませんね。



 
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