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2017年10月23日
遠い彼方の銀河から飛んでくる宇宙放射線や、太陽活動に伴う放射線は、宇宙滞在を行う宇宙飛行士の健康を考える上で重要な問題です。
地上で日常生活をしている中での放射線による被ばく量は、1年間で約2.4ミリシーベルトといわれます。一方、宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士の被ばく量は、だいたい1日当たり0.5〜1ミリシーベルトくらいだそうです。
総量としてどのくらいの被ばくを受けると健康に害が出るのかどうか、厳密なところは分かっていない部分も多いですが、専門学会や国際委員会の基準や勧告に従って、「宇宙飛行により、どのくらいの被ばくを受けることが許容できるか」という安全基準が設けられています。
宇宙飛行を行うにあたっては、ミッション期間中に予想される宇宙放射線の強さを計算し、宇宙飛行士ごとに、十分に許容可能な量であることを事前に確認しています。
また、宇宙飛行にあたっては、線量計といって、どのくらいの放射線が当たったかを測定することのできる計測器を個人ごとに携帯し、ミッション中に受けた、実際の放射線量を測定しています。
ミッションでの実際の放射線被ばく量は、事前の計算値より低いことが通常で(事前の計算値は、十分な安全を考えて、わざと悪い条件設定で計算を行うため)、宇宙ステーションへの半年程度の長期宇宙滞在ミッションならば、3〜4回くらい繰り返して参加しても、健康に害のでない許容範囲内であることが確かめられています。
太陽フレアなど、予想できない突発的な太陽活動に対する対策もされています。
NASAやJAXAなどの宇宙機関では、太陽活動や宇宙放射線環境を常時監視しています。太陽フレアなどのイベントが発生した場合には、それがどの場所で、どのくらいの規模で発生したのかを分析し、宇宙ステーションで生活する宇宙飛行士への影響を判断します。
必要な場合には、宇宙飛行士は、宇宙ステーションの中でも特に遮蔽のある部分に退避して、一時的に増加する太陽放射線をやり過ごします。
巨大で複雑な構造をしている宇宙ステーションの中で、どの部分が放射線が通りやすく、どの部分が遮蔽効果が高いのかというのはとても重要な情報ですので、宇宙ステーション内部の色々な場所にはセンサーや線量計が設置されていて、船内の放射線環境を評価しています。
これらのデータは、単に宇宙飛行士の健康を守るだけでなく、将来の宇宙船や衛星の開発にも役立つことが期待されます。
JAXAが運用している線量計(Area PADLESといいます)。ソユーズを使って回収・交換を行っており、「きぼう」の運用が始まって以来、ずっと宇宙放射線環境のモニターを継続しています。PADLESについての詳しい解説は、コチラをごらんください。
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