このページは、過去に公開された情報のアーカイブページです。

<免責事項> リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。また、現在のWebブラウザーでは⼀部が機能しない可能性があります。
最新情報については、https://humans-in-space.jaxa.jp/ のページをご覧ください。

サイトマップ

宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センタートップページ
  • Menu01
  • Menu02
  • Menu03
  • Menu04
  • Menu05
  • Menu06
  • Menu07

JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

L-1ヶ月:ロシア最終訓練

2017年11月16日

バイコヌール宇宙基地へ出発する前の「最終試験」に向けて、モスクワ郊外の星の街(ガガーリン宇宙飛行士訓練センター)では、クルーの準備が、着々と進んでいます。
最終試験は、「ロシア・モジュールでの生活」と「ソユーズ宇宙船の運行」の2部構成で、2日間に渡って行われます。

「ロシア・モジュールでの生活」は、トイレの使い方、地上との交信、ロシア製のハッチの開け閉め、宇宙食の準備方法など、宇宙ステーションで生活をする上で一番基本となる作業がこなせるかというものです。
ロシア区画にある機器の保守・点検や、故障があった場合の修理は、ロシア人クルーの担当ですので、むしろ勝手なことをしないというのが大切です。
例えば、ロシア区画のトイレを借りて使っているときに、異常を示す赤ランプが点灯したら?・・・訓練では、トイレの仕組みや不具合対処方法について勉強しましたし、トラブルシュートのための手順書も用意されていますが、最終試験では手近なロシア人クルーに報告するというのが正しい行動。自分では対処可能であると自信を持っていても、宇宙ステーションの船長や地上の管制官へ相談なしに勝手な行動をしては、もっと大きなトラブルの原因になってしまいます。

一方、「ソユーズ宇宙船の運行」は、(1)打上げ・軌道投入、(2)ランデブー・ドッキング、(3)アンドッキング・着陸の3パートを、普段は別々に訓練しています。毎回の訓練ごとに、「今日は、打上げのパートをやるよ」とか、「今日は緊急帰還ね」などと、担当のインストラクターから示されます。
それぞれのパートでの訓練では、宇宙船にさまざまな不具合が起こるので、手順書を頼りに問題解決をしながら目標の達成(軌道投入や、宇宙ステーションへのドッキングなど)を目指します。
コンピュータ制御の自動ドッキングが開始されたところで、宇宙ステーションとの位置関係を測定するシステムが働かなくなったり、重要なエンジン噴射の直前に制御コンピュータが壊れたり、一番面倒くさいタイミングで大切な機器が壊れるのがお決まりのパターンです。
船長と、サポート役の左席フライトエンジニアがコマンドを入力して不具合対処するのも、時には秒単位での時間との勝負だったりすることもあります。

最終試験では、午前中に(1)打上げ・軌道投入と、(2)ランデブー・ドッキングを行い、昼食をはさんで、午後から(3)アンドッキング・着陸と行いますので、なんと1日で宇宙ステーションに行って帰ってくるという強行日程です。
でも、普段の訓練では、各パートの中で5個も6個も不具合を与えられて、時間に追われながら対処を行っているのに対し、最終試験では3パートを通した全行程で合計で5つしか不具合が出ないことになっていますので、クルーの立場では、「あれ、今日は全然不具合が起こらないなぁ」と、逆に物足りなく感じるくらいです。

ちなみに、こうやってソユーズ訓練を行ってくれるインストラクターは、クルーごとに専属の教官が付いてくれて、いつも同じ教官から指導を受けます。
この専任教官は、実際の打上げ後のソユーズ宇宙船の運行に当たっては、クルーとの交信役(「グラブヌィ・オペレータ」と呼ばれます)を務めてくれるというのがルールです。自分たちを訓練してくれて、得意な部分・苦手な部分を良く理解してくれている教官が、管制センターから指示を出してくれるというのは実に心強いものです。
ロケットや宇宙船に対する信頼感はもちろんですが、訓練の面倒をずっと見てもらっていた教官と一緒にソユーズの運行に当たるので、どんな不具合があっても対処できるという自信をもって宇宙飛行を行うことができるのです。



 
Copyright 2007 Japan Aerospace Exploration Agency SNS運用方針 | サイトポリシー・利用規約