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2018年8月23日
前回は、宇宙ステーションの運動器具の紹介シリーズで、「エクササイズバイク」のことを書いていたら、話が脱線して、運動器具の振動が伝わらないようにする・・・って話になっちゃってました(苦笑)。
ついでに追記すると、以前にご紹介した、筋トレマシーンの「ARED(エーレッド)」や、「ランニングマシン」にも同様に、宇宙飛行士が運動しても、その振動が宇宙ステーションの構造体に伝わらないようにする、宇宙ならではの仕組みが備えられています。
ところで、宇宙式の「エクササイズバイク」を使った、もう一つ大切な作業があります。それが、タイトルにある「体力測定」です。
宇宙ステーションに到着した直後は、一時的に体力が落ちると言われています。これが宇宙環境に適応する過程での体の変化に伴うものなのか、それとも単に打上げ前後の忙しさにより一時的に体力トレーニングができなかったり、過密スケジュールによる疲労で本来の身体能力が発揮できないだけなのか、はたまた無重力環境で、慣れない運動マシンを使うせいで良いデータが取れないのか・・・正直なところ、わたしには分かりません。
しかし、宇宙ステーションでミッションでは、船外活動(宇宙遊泳)など、肉体的な負荷の高い作業もあり、また長期宇宙滞在の影響による筋力低下の可能性もあることから、宇宙飛行士の体力レベルがミッション前に比べてどうなのか、きちんと調べることが大切です。
今回ご紹介する写真は、「エクササイズバイク」を使って「最大酸素摂取量」の測定をしている様子です。
写真の中で、若田宇宙飛行士は胸に心電図のケーブルをつけ、口にはチューブにつながったマウスピースをくわえています。
このチューブからは、精密に濃度計算された呼吸ガスが流れており、宇宙飛行士が、運動によってどのくらいの酸素を体内に取り込んだかを測定することができます。
「最大」酸素摂取量の測定ですから、自分の限界まで、最大の負荷で自転車を漕がないといけない、大変にキツい運動です。
ミッションが始まった直後、ちょうど折り返しの頃、そしてミッションを終えて地球に帰還する直前の、合計3回の測定は毎回、ちょっと憂うつでした。
まあ、でもそのおかげで、ミッション中盤では、軌道上での運動がきちんと効果を発揮していて、地上と変わらない体力が維持できていることが確認できましたし、その結果を元に、安全に船外活動ができることや、ソユーズ宇宙船に乗って帰還できることが判断できましたので、やっぱり大切な体力測定です。
ちなみに、ミッションを終えて帰還したあとも、順調にリハビリができているか、リハビリ開始直後・リハビリ中盤・そしてリハビリ終了時に、同様の自転車漕ぎによる体力測定を行い、大変な思いを繰り返しました。
万一、リハビリが長引いて、この体力測定をもう一回やり直す・・・なんてことになってしまうと、精神的なダメージが大きいので、そういう意味でも、リハビリを予定通りにやり遂げる、大きなモチベーション(?)になりました。
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