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2017年11月15日
補給船をロボットアームでキャプチャー成功!
・・・軌道上の宇宙飛行士にとっても、地上の管制官チームにとっても、最高の瞬間です。でも、実は、宇宙ステーションでの仕事は、ここからが始まりです。
まずは、ロボットアームでつかんだ補給船を、宇宙ステーションに取り付けなければいけません。宇宙ステーションには、補給船用のドッキングポートが2つ用意されており、ロボットアームを動かして補給船を取り付けます(ちなみに、この部分のロボットアームの操縦は、地上の専門の管制官が遠隔操作で行います)。
補給船が取り付けられたら、宇宙ステーションのハッチと、補給船のハッチの間のスペースに空気を満たし、気密を確認します。ドッキングポートは、二重のゴムパッキンで空気漏れがないようになっていますが、何度も補給船が着いたり離れたりしているので、劣化したり傷がついている可能性があります。空気漏れを起こしてしまっては元も子もないので、慎重に時間をかけて気密のチェックを行います。
空気漏れのないことが確認できて、いよいよ補給船に入室・・・とは、まだいきません。その前に、補給船に電力供給をしたり状態を監視するためのケーブルをつなげる必要があります。
補給船が宇宙ステーションにドッキングしている間、補給船の太陽電池パネルで十分な電力を作ることはできませんので、必要な電力を宇宙ステーションから給電しなければなりません。
また、宇宙ステーションまで飛行するのに使っていた様々な機器はドッキング中には必要ありませんので、宇宙船を休止状態にして、地上からの直接通信も切断します。代わりに、宇宙ステーションのコンピュータを介して、ドッキング中の補給船に必要な最低限の機能のみを維持するのです。
これらの作業を終えて、補給船の維持体制が整ったところで、ようやくお待ちかねの入室です!
NASAテレビ や動画ニュースなどで、この感動の瞬間をご覧になった方はご存知かもしれませんが、いざ補給船のハッチを開けようとする宇宙飛行士は、ゴーグルにマスクを装着した、とても怪しい恰好をしています。
実は、補給船の内部は、打上げ前に射場で貨物を積み込んでハッチを閉めたっきりの空気が詰まっています。もし小さな(例えば、砂粒くらいの)ゴミが落ちていたとして、地上ならば床に落ちていて気付かなくても、無重力状態でふわふわ浮いていたりしたら、何かの拍子に宇宙飛行士の目に入ったりして危険な場合があります。
また、「オフ・ガス」といって、貨物に積まれた機器から溶剤が気化して、健康を害するような化学物質が混じっているような可能性も、確率は低いですが、否定できません。
ドラゴン補給船9号機に入室しようとする大西・ルビンス両飛行士。完全装備で準備万端です。
補給船のハッチ・オープンは、そんなドキドキの瞬間で、宇宙飛行士はゴーグル・マスク着用の完全装備、手には、空気をサンプルするボトルを手にして、まずは補給船に閉じ込められていた空気が安全に問題ないかを、まず最初に確認しなければいけないのです。
宇宙ステーションから、空気ダクトを引いて、補給船内部の空気を換気し、ようやく貨物の取り出し作業に移ります。
引っ越し用の大型トラックと同じか、もしかしたらそれ以上の積み荷を降ろすという大変な作業が待っていますが、生鮮食品など、補給船の現場担当者からの差し入れが何よりのモチベーションです。
緊張の連続する宇宙飛行ミッションですので、一緒に仕事をしている仲間からの、温かな心づかいが常にも増して心に沁みるものです。また、こういう人情味こそ、宇宙開発の仕事の魅力の一つだと思います。
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