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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

L-6:隔離生活中の日課

2017年12月11日

バイコヌールでは、打上げまでの期間、宇宙ステーションに風邪などの病気を持ち込まないようにホテルの一角で隔離生活を送ります。
前回ご紹介した「フィットチェック」での外出を除けば、終日ホテルの中で単調な生活を送りますが、かといって暇でボーっと過ごしているというわけでもありません。

毎朝行われるのは、ソユーズ宇宙船の運行で使用する手順書の読み合わせです。
赤・緑・藍色と、訓練用とは違って、カッコいい表紙がついた本番用の手順書(マニュアル)に、訓練用マニュアルに書き込んでいた自分のメモを書き写すのは、本番に向けた大事な準備です。
また、訓練(シミュレーター)では省略していた手順も、本番に向けてきちんと打合せを行います。訓練を効率的に行うために、これまでの訓練の中では、気密チェックやエンジン噴射の待ち時間などを省いていましたが、本番の打上げでは、もちろん時間をかけて気密チェックをしたり、エンジン噴射のタイミングを何十分も待つ必要があります。
待機時間も気を張り詰めていては持ちませんので、いつ集中力が必要で、いつ気を抜いて良いのか、特に初飛行のティングル飛行士や私には、全体の流れを把握するのはとても大切なのです。

(出典:JAXA)
(出典:JAXA)

打上げに向けての準備は、技術的(テクニカル)なものだけでなく、身体的(フィジカル)なものも同時に行っています。宇宙空間で安全な活動を行うために、無重力環境になるべく早く適応するための、体のコンディショニングがそれです。
人間の体は不思議なもので、重力のない宇宙環境でも活動することができるのですが、環境の変化に体が慣れるまで、上下左右の感覚が混乱して気持ち悪くなってしまう宇宙酔いや、地上だと下半身に集まっていた血液が、無重力環境のため上半身に分布する(「体液シフト」と呼ばれます)ことで、顔がむくんだり、鼻づまりのような感覚が続きます。

こういった不快な感覚をなるべくラクに乗り切るのに、古くから宇宙飛行・長期宇宙滞在の経験を持つロシアでは、ターンテーブルや回転イスといった、単純な方法を使って効果をあげています。

(出典:JAXA)
(出典:JAXA)

一定時間ごとに頭を上げたり下げたりするターンテーブルは、バックグラウンドに音楽を流してくれるので、ウトウト寝てしまうほどです。


(出典:JAXA)

見た目は床屋さんか歯医者さんのようですが、回転するイスに乗ってクルクル回るのは、オフィスや会議室のイスで誰しもやったことがあるのではないでしょうか?

こういう単純な「訓練」で、無重力環境への適応を早めることができるというのは、さすが経験の深いロシアの宇宙医学だと感心させられます。



 
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