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2017年10月13日
ヒューストンでの訓練ももうわずか。ミッション中に作業を行う可能性のある、「実験ラック」の訓練を受ける機会がありました。
「実験ラック」とは、正式にはISPR(International Standard Payload Rack=国際標準実験ラック)と言います。日本実験棟「きぼう」や、ヨーロッパの実験施設「コロンバス」、アメリカの実験モジュール「ディスティニー」は、天井・床・左右の壁に、ずらっと隙間なくラックが収まるような作りになっています。
がらんどうのモジュール(部屋)に棚を備え付けるようなイメージでしょうか。
国際宇宙ステーションで行われる様々な宇宙実験の多くは、この「実験ラック」の中に備え付けられる形で実施されます。
「きぼう」に設置されている「実験ラック」の一部を紹介すると、生物・生命科学の実験を行うための「細胞実験ラック」や、流体の物性実験や結晶化実験を行うための「流体実験ラック」、中身を入れ替えて様々な分野の実験を行う「多目的実験ラック」など、それぞれのラックごとに異なる分野の実験を行うための特別な機能が備えられています。
例えば、宇宙ステーションで細胞実験をする場合は、「細胞実験ラック」にセットできるような形で実験サンプルが届きますので、宇宙飛行士は、たとえば「こうのとり」のような宇宙輸送船から、このサンプルを取り出し、実験ラックにセットすることで培養を行います。
同様に、高品質のタンパク結晶化実験だったら、「流体実験ラック」専用のカートリッジにサンプルが詰められた形で宇宙ステーションに届きますので、この専用カートリッジを取り付けるのが宇宙飛行士の作業となります。
「多目的実験ラック」の場合は、ちょっと特殊です。というのは、宇宙輸送船で運ばれてくるのは、実験装置そのもの。そのときに実施する実験によって、今回は「水棲生物飼育装置」とか、その次は「燃焼実験装置」とか、ラックの内部に、運ばれてきた実験装置を組み立てるのが、宇宙飛行士の仕事になります。
それぞれの「実験ラック」は、実験をサポートするためのコンピューターや電源供給ユニット、空冷用のファンなど、さまざまな機器が組み込まれており、実験を開始するにあたって、これらの機器の保守点検などの準備も、宇宙飛行士の大切な役目の一つです。
宇宙飛行士は、自分で宇宙実験を考え出して宇宙で実験をしているわけではありませんが、地上の研究者が準備した実験がスムーズに効率良く実施できるように働く、実験室の助手の役目を果たしています。
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