軌道上の週末

2018年8月30日

前回も書いたように、宇宙ステーションでも週末の土日は、基本的にはスケジュールされた仕事はなく、自由に過ごすことができます。
平日は、仕事が7時から始まるので、遅くとも6時には起床しますが、週末は8時か9時くらいまでゆっくり朝寝坊を楽しんでいました。

土曜日の午前中は、宇宙ステーションの掃除があります。機械ばかりの宇宙ステーションですが、人間が生活しているのでホコリが出たり、食事をする近くでは、飛び散った飲み物や宇宙食の汁などが壁についたりと、結構汚れていきます。
空気循環のための取り込み口にはフィルターがついていて、そこに溜まったゴミを掃除機で吸い取ったり、壁を消毒ワイプで拭いたり、クルーで手分けをするといっても、それなりに手間と時間が掛かります。手を抜いていると、空気再生の効率が落ちたり、クリーンな船内に病気の原因となる細菌が増えてしまったりしますので、大切な保守作業です。

このときにトイレの掃除も行います。地上のトイレと違って空気の流れを作って、掃除機のように排泄物を吸い取る形式なので、油断すると、液体成分の「しずく」や、固形物が、フワフワっと逃げ出すこともちょくちょくですから、「キャビン」と呼ばれる個室の内側を入念に拭き掃除します。
また、固体の排泄物はタンクに溜めていく方式なので、だいたい1週間ごとに交換を行わないといけません。宇宙ステーションではロシア製のトイレを使っていますが、とても優れたデザインで、固体排泄物のタンク交換は、慣れれば5分か10分で簡単にできます。

土曜日のお昼くらいまでに掃除をすると、あとは自由時間・・・ではあるのですが、原則的に体力トレーニングを毎日2時間半行わないといけません。週末は、ロシア人のクルーメンバーもARED（エーレッド）という筋トレ・マシンを使いたがるので、みんなで順番待ちとなります。
「毎日」の体力トレーニングが原則ですが、週に1回くらい休養日を入れることが多いので、運動マシンの順番待ちが大変な週末は、運動をスキップする人も割といます。

また、毎週末、精神心理支援として家族とのテレビ電話会議を行うことができます。地上にいる家族と顔を見ながら、その一週間あった出来事を話すのは大変楽しいのですが、通信回線と、地上の担当者の作業が必要なことから、このテレビ会議もクルーごとに、スケジュールされた時間に行わないといけません。

掃除、運動、家族との電話会議を一通り終えると、あっという間に夕方です。
土曜日の夜は、われわれのクルーの内輪の約束で、「みんなで映画を観る日」と決めていました。軌道上には大きなスクリーンとプロジェクターがあり、ドリンク片手に、みんなで一緒に時間を過ごします。
週末は自由・・・という割には、結構忙しく、あっという間に1日が終わる感じでした。