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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

L-26日:スピーチと乾杯

2017年11月21日

ロシアの「文化」と言ってもいいのではないかと思いますが、何かにつけて、スピーチと乾杯の機会があります。
最終試験が終わったら、ささやかな宴席を設けて乾杯。バイコヌール宇宙基地に旅立つ伝統の朝食会でも乾杯。今回、わたしは参加することはできませんが、クルーの打上げを見送って乾杯。宇宙ステーションへのドッキングが成功したら、また乾杯。
お祝い事や節目のイベントには乾杯がついてくるのは、なにもロシアに限ったことではありませんが、こんなにたくさんの機会があるのは、やはり独特だと思います。

ロシア風の乾杯には、常にスピーチが伴い、それが何度も繰り返されるのが特徴です。
「今日、無事に最終試験を終えることができました。これもひとえに教官のみなさまのおかげです。乾杯!」
「今日の試験は素晴らしい出来だった。これもクルーの頑張りによるもの。この調子でミッションも頑張ってもらいたい。乾杯!」
「バックアップクルーとして参加できるのを光栄に思います。ミッションの成功を祈ります。乾杯!」

一般的に、「乾杯!」に相当するロシア語は「ナ・ズダローヴィエ!(健康のために)」ですが、スピーチの内容によって、何に対して乾杯しても構いません。
「クルーのために!」、「教官のために!」、「ミッションのために!」
日本のように宴会の始めと終わりに乾杯をするのではなく、短いスピーチのあと乾杯をしては、しばし歓談。しばらくすると誰かがスピーチを始めて、また乾杯・・・というのが繰り返されます。
その場に居合わせたほぼ全員が、ひと言ずつスピーチする・・・だけでなく、それが何周も繰り返されたりします。

ロシアの宇宙開発の現場だけの「伝統の乾杯」も独特のものがあります。
スピーチのあとに、「それではご唱和ください。3(トゥリ)、4(チトゥリ)、ウラ、ウラ、ウラ〜」と続くのです。
「ウラ〜」は、日本で言うところの「万歳」でしょうか。一同、一斉に「ウラ、ウラ、ウラ〜」と声を上げて、ショットグラスのウォッカを飲み干すのです。

初めてのときにはビックリしましたが、お酒が進むにしたがって「ウラ、ウラ〜」と大変にぎやかで、言葉はあまり通じなくても、あまり知らない人でもすぐに打ち解けることができます。
もしかすると、この乾杯方式は、旧ソ連時代の昔から国際協力が必要とされた宇宙開発プログラムにおける、必要に迫られた知恵によるものかもしれませんね。
ロシア人も、アメリカ人も、日本人も関係なく、一つの目的のために一緒に頑張る仲間という意識を高め、絆を結ぶ、とても大切な機会です。

(出典:JAXA)

油井・大西両飛行士と、ミッション成功を祈って乾杯!おふたりの宇宙滞在中の裏話にご興味がある方は、コチラへ!(前編後編



 
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